モバイルは未来を意味している。そして、誰もが置き去りにされたくないと思っている。なぜなら、敗北は確実な死につながるからだ。
「iPhone」はこの5年間で、1500億ドルという莫大な売上高をAppleにもたらした。GoogleはMotorolaの買収に125億ドルを費やした。MicrosoftとNokiaはついに、旗艦製品となる「Windows」スマートフォンを作り上げた。
ただし、この分野で注目すべき企業はAmazonである。同社は2007年に発売した電子書籍リーダー「Kindle」で最初の金脈を掘り当てた。同社はその数年後、AppleとGoogleにはタブレット市場で多少の競争が必要だろうと判断し、「Kindle Fire」をリリースした。7インチのスクリーンを備える200ドルの同デバイスは、好意的な評価を受けた。
Amazonは米国時間9月6日、「Kindle Fire HD」を発表し、さらに大きな勝負に出た。8.9インチのスクリーンを搭載する同タブレットは、ハードウェアとグラフィックスが強化されており、299ドルという手頃な価格が付けられている。これは、評判の良いGoogleの「Nexus 7」タブレットに対する極めて明確な返答だ。そして、Amazonがスマートフォンの開発にも取り組んでいると一部で報じられていることにも言及しておくべきだろう。
ハードウェア市場に参入することにAmazonがこれほど大きな関心を抱いているのはなぜだろうか。筆者は数年前、スマートフォンに関してある結論を下すに至ったが、Amazonの最高経営責任者(CEO)であるJeff Bezos氏も同じ結論に達したのではないか、と筆者は考えている。それは、ハードウェアを支配する者がプラットフォームを支配し、プラットフォームを支配する者が戦いに勝利する、というものだ。
電子書籍がAmazonのビジネスに占める比率は、ますます大きくなっている。しかし、AmazonがAppleやGoogleのプラットフォーム向けにアプリを開発するときは、両社のルールに従う必要がある。例えば、Amazonが「iOS」アプリで電子書籍を販売するには、アプリ内購入を実装し、Appleに電子書籍売り上げの30%を提供することに同意しなければならない。
だが、Kindleタブレットおよび電子書籍リーダーの場合、Amazonは自分でルールを策定し、 すべての利益を独占できる。ユーザー体験をコントロールし、自社の電子書籍およびマルチメディアコンテンツを高額で販売することも可能だ。
AppleとGoogle、そしてMicrosoftがモバイルを支配することをBezos氏が認めないのはそのためだ。Amazonはタブレット市場で既に大きな自己主張をした。そして、大規模な流通と価格設定戦略によって、膨大な台数のKindle FireとKindle Fire HDを出荷することだろう。
ただし、筆者が最も興味を覚えるのは、ほぼ確実に登場するであろうAmazonのスマートフォンだ。Bezos氏は今後もスマートフォン市場を外から眺めているだけだろうと考える人がいたとしたら、その人はどうかしている。スマートフォン上での消費はますます拡大している。そして、Amazonの電子書籍およびマルチメディア事業の成長を加速させるには、Amazon独自のスマートフォンハードウェアが必要だ、ということをBezos氏は認識している。
多くのクラウド機能を備え、Amazonのコンテンツに容易にアクセスでき、価格の低い競争力のあるスマートフォンを作ることができたら、同社はスマートフォン市場に波乱を起こす可能性がある。Amazonの強大な流通およびマーケティング力を決して侮ってはいけない。
Bezos氏が6日に発したメッセージは次のようなものだったと筆者は考えている。AppleとGoogleよ、Amazonはお前たちの後を追っている。恐れおののくがよい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス