米国の大手電子書籍出版社3社は、電子書籍の価格操作の疑いをめぐり、巨額の払戻金を支払うことで合意した。
コネティカット州の州検事総長George Jepsen氏は米国時間8月29日、「他の州、地区、および米準州の検事総長54名とともに」6900万ドルの和解協定をHachette Book Group、HarperCollins Publishers、およびSimon & Schuster(米CNETの親会社であるCBSが所有)と締結したことを発表した。この3社は、談合により電子書籍の価格を人為的に引き上げたとして独占禁止法違反に問われていた。
「出版社には利益を追求する権利があるが、同じように消費者にも公正で開かれた市場を享受する権利がある。本和解は、今回の価格操作謀議によって被害を受けた消費者に補償をするだけでなく、電子書籍市場における競争を回復して消費者の『長期的利益』を守るものだ」とJepsen氏は声明の中で述べた。
同じく連邦政府による独占禁止法違反の調査対象となっているAppleは、検事総長らとの和解には応じなかった。また、MacmillanとPenguin Groupも和解を拒否している。
米司法省は4月11日、出版社が電子書籍の価格を設定できる、いわゆる「エージェンシーモデル」を採用したAppleと電子書籍出版社を提訴することを発表した。エージェンシーモデルの採用は、結果として電子書籍の価格を引き上げたため、すぐに法執行当局の目に留まることとなった。このモデルが採用される以前は、Amazonがもっと卸売価格に近い価格で電子書籍を販売していた。
Appleの共同創設者Steve Jobs氏が、2011年に自身の伝記の著作者であるWalter Isaacson氏に対して自分がエージェンシーモデル(および、それに続く値上げ)を出版社に提案したと明かしたことは、軽率にもエージェンシーモデルに対する注意をさらに引きつけることになったのかもしれない。
Jobs氏はIsaacson氏に次のように語っている。「われわれは出版社にこう言った。『われわれはエージェンシーモデルに移行する。あなたたちが価格を設定し、われわれがその30%をいただく。もちろん、消費者の払う金額は多少高くなるが、どうせそれはあなたたちの望んでいることだろう』と。そして、彼らはAmazonを訪れ、『エージェンシー契約を結んでほしい。さもなければ、書籍の提供をやめる』と言ったのだ」
今回の和解協定では、裁判所による承認から30日経過後、エージェンシー価格により損害を被った消費者に対して出版社が払戻金を支払うことになる。Jepsen氏によると、払い戻しを受けられるのは2010年4月1日から2012年5月21日の間にこれらの出版社から電子書籍を購入した消費者だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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