われわれはTechRepublicの活動の中で、多くの予算配分について考えているCIOや、プロジェクトの計画を立てているITプロフェッショナル、製品を販売しているITベンダーと話をする。このことは、IT業界でどの方向に風が吹いているかについて、貴重なヒントを与えてくれる。この記事ではこれを念頭に、2012年の現時点で、もっとも勢いのあるIT業界のトレンドについて紹介する。
では、カウントダウンを始めよう。
プロジェクトはこれまでのIT部門の大きな部分を占めてきたが、過去には保守や運用を継続するために投じられるIT資源も多かった。多くの企業は、そういったITの運用面を当然のものと考え、既存のインフラをできる限り自動化し、できる限り安価に維持するようにしたいと考えるようになっている。企業が持つ既存のシステムを維持する仕事には、もはや栄光も、職の安定もない。
これが、アウトソーシングとクラウドが商品として注目を集めている理由だ。アウトソーシングとクラウドは、企業がITの運用コストの負担を減らし、ITスタッフをシステムのアップグレードやビジネスプロセスの合理化、事業を変えるための新しいITプロジェクトに集中的に投入することを可能にする。ITは、これまでにないほどプロジェクトが中心になっている。これは、ITプロジェクトを支援できるベンダーが重要だということでもある(そして、そこにはインフラを専門とするITプロフェッショナルの仕事もある)。また、人材や資源を組織化し、プロジェクトを時間通りに予算内で成し遂げられるビジネスアナリストやプロジェクトマネージャーも大事だ。そして何より、サーバ室の運用経費だけではなく、プロジェクトベースで予算や人事上の判断を下せるCIOが求められている。
企業の従業員は、これまでになくモバイルになってきている。これには、在宅勤務の増加から、勤務から早退して子どもを迎えに行き、午後は喫茶店やサッカー場のスタンドで仕事をするといった、ワークライフバランスの進展まで、多くの要因がある。また、運輸業界やヘルスケア業界など、デスクワーカー以外の働き手が多く、その労働環境に合わせたコンピューティング環境を用意する必要がある業界も多い。
スマートフォンやタブレットが高機能化し、PCで行われていた作業も可能になってくるにつれ、それらのニーズの多くを満たせるようになってきた。それでも、フルキーボードとマウスで作業をした方が作業効率が高い場合もある。それが、Motorolaの「Webtop」(スマートフォンドッキングソリューション)や、「Ubuntu for Android」(スマートフォンに組み込めるデスクトップOS)、Microsoftの「Surface」(スタンドとキーボード兼用カバーのついたタブレット)などの製品が人気を集め始めている理由だ。従来のPCとモバイルデバイスの間の境界線は、今後ますます曖昧になっていくだろう。
正直になろう。モバイルデバイスの急速な普及とBYOD(私物端末の業務使用)の流行は、IT部門に多くの頭痛の種と悪夢のシナリオをもたらしている。強力なセキュリティと従業員の環境に対するコントロールを必要とする企業にとって、この問題に対するもっとも簡単な回答の1つは、VMwareやCitrix、Microsoftなどのベンダーが提供するデスクトップ仮想化技術やターミナルサービスなどのソリューションを採用することだ。
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