陪審員が語るアップル対サムスン裁判:「性急に判断されたことは何もない」 - (page 3)

Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年08月30日 07時30分

 「サムスンが知的財産権を侵害したと判断してからは、さまざまな(サムスン)製品に実際に当てはめていくだけだったので、簡単だった。それはすべて同じだったからだ。例えば、トレードドレスもそうだ。サムスンがベゼルの付いたフラットスクリーンというトレードドレスを侵害したと判断した後は、さまざまな製品を検討して、ベゼルがあるかどうかを確認するだけだ。しかし、われわれは時間をかけて確認した。慌ててはいなかった。議論をしてから判断を下した。議論が白熱することもあった」(Ilagan氏)

 ベゼルとはデジタル画面の周りの機能を持たない領域を表す用語で、この言葉は前面を囲む装飾的な外周部も表す。Appleの初代iPhoneのベゼルは光沢のあるクロムで、その外観は、「iPhone 4」が出るまで3世代にわたって同デバイスで採用された。

 サムスンは裁判の中で、ベゼルの重要性を低く見せようと試みた。サムスンの弁護士に尋ねられた同社のデザイン専門家の1人は、ベゼルは機能的なものであり、外形に影響を与えると証言した。

 陪審員団がAppleの主張のいくつかを認めなかったことも、彼らが家に帰るために、陪審評決フォームのAppleのチェックボックスに何も考えずにチェック済みの印を付けていったわけではないことの表れだ。陪審員団は、訴訟の対象となっているすべてではなく一部のサムスン製品において、サムスンがAppleの特許権と意匠権を侵害したと判断した。

 また、陪審員団は、サムスンがAppleのiPhoneのトレードドレスを侵害したとの結論を出したが、Appleが主張する「iPad」に関連した未登録のトレードドレスは侵害していないと判断した。

 裁判所の文書によると、トレードドレスとは、「製品の出どころを識別し、他社の製品と自らを区別できる、製品の非機能的で物理的な細部およびデザイン」のことだという。

 「われわれは、未登録のトレードドレスの主張について議論していた。それには時間がかかった。なぜなら、何人かの陪審員が丸みを帯びた角やアイコン、長方形に関して、(Appleを)保護したいと考えたからだ。しかし、それらは登録されていなかった。したがって、何人かの陪審員は、『なぜ、われわれが特許庁の役割を果たしているのか。われわれは特許庁ではない。それは登録されてさえいない』と言った。何人かの陪審員は、それらの特徴の組み合わせを見ると、Apple製品のように見えると言った。しかし、サムスンを市場から締め出すことはしたくなかった。次のように考えたからだ。『さて、Appleがそれらすべての知的財産権の取得を試み、結局取得しなかったならば、同社は今、われわれが同社のためにそれらの知的財産権を取得するよう求めている。われわれはそうはしたくない』」(Ilagan氏)

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