「Lion」はわたしの「MacBook Pro」では難点を抱えていたが、「Mountain Lion」は猫科の優雅さでそれを解いてくれた。
ラグの問題、Safariのフリーズの恐怖、永遠に回り続けるビーチボールなどの問題はなくなった。性能は向上し、ウェブの閲覧はスムーズになり、ビーチボールについては見た目こそ変わらなかったものの、少なくともあまねくどこにでも出てくるということはなくなった。
ほかにMountain Lionで改善された点には、垢抜けた通知パネルや「iOS」に統合されていたアプリの導入などがある。しかし、Mountain Lionで真に評価すべきは、わたしや他の多くの人たちをかなりの間悩ませてきたミッシングリンクが手に入ったこと、つまり統合された「iCloud」のストレージで文書が利用できるようになったことだ。
中には、Mountain LionはOS Xに対する小規模なアップグレードにすぎないと説明する人もいるが、MacとiOSプラットフォームでウェブベースのストレージが統合されたことは、MacとiOSデバイスのファイルシステムにとって、バベル魚のようなものだ(銀河ヒッチハイク・ガイドを知らない人のために言い換えれば、ロゼッタストーンのようなものだ)。
すべては、Appleの次の10年の目玉であるiCloudによって裏打ちされている。Macが単なるデバイスであるとすれば、iCloudはAppleの新しいプラットフォームだ。
iCloudでの文書ファイルを共有する機能が初めて実装されたのは、2011年に出た「iOS 5」でのことだ。この機能により、連絡先やカレンダーの項目、ブックマークなどと同じように、「iPad」や「iPhone」の間で文書を同期することができた。そして、これはまったく問題なく動いた。これはつまり、「MobileMe」とは違ったということだ。
一方、あちこちでMacを再登録する必要はあるにせよ、Appleのクラウドベースの音楽サービスである「iTunes Match」は、米国では24.99ドル、英国では21.99ポンドという格安の料金で立派に動作する。
ただし、われわれのようなMacで生産的な業務をしている人は、ジグソーパズルの失われたピースを手に入れるのに、Moutain Lionまで待たなくてはならなかった。
この展開は、自宅と職場にあるどちらのMacでも仕事をし、BOYD革命の一端として家や職場でiPadを使うことも多くなっているわたしのようなタイプの人にとっては、非常に歓迎すべきことだ。
Mountain Lionのリリース前、Apple本社には奇妙な沈黙があった。とにかく長い間、Appleからはこの空白を埋める理屈の通ったものはなにも出てこなかった。確かにAppleのオンラインでの共同作業に対する最初の取り組みである「iWork」こそあったが、iWorkは結局離陸することはなかったし、このソリューションが同社の経営陣からあまり重視されていたとも思えない。
また、「iTunes」を利用した文書やその他のファイルを共有する不器用な方法はあったが、これについては言わぬが花というものだろう。
Appleから、MacとiCloudを結ぶ、間を埋めるまともなサービスが出ない間、他の企業はこの穴を埋めようと動いた。2011年にはクラウドベースのストレージサービスが爆発的に広がり、多くのサービスが成功している。「SugarSync」もその1つだが、もっとも成功したのはやはり「Dropbox」だろう。
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