「Mountain Lion」日本語版レビュー--「サービス化」するOSの進化を考える

 インストール直後の感想は、インストール作業そのものの速さ、簡単さと、スムーズすぎる移行で、OSをバージョンアップしたことが細かすぎて伝わってこないんじゃないか──、というものだった。

Mac App Storeからダウンロードでき、日本では1700円で提供されている
Mac App Storeからダウンロードでき、日本では1700円で提供されている

 Appleは7月25日、Mac向けの最新OSであるOS X 10.8 Mountain Lion(以下、Mountain Lion)を発表した。Mac App Storeからダウンロードでき、日本では1700円で提供されている。200以上の新機能やシステム、そしてアプリダウンロードの際の信頼性向上、そして何よりiPhone/iPadなどのiOSデバイスとの操作面、クラウド連携における親和性の面で、もはや別のラインのOSと思えないほど違和感がない複数のデバイス活用が可能になる。

 LionでiOSとの親和性を打ち出し、Mountain Lionでは融合を目指す。かつてiPodのおかげでMacが見直されたように、iPhone、iPadのiOSデバイスの「ハロー効果」でMacユーザーの増加とユーザー体験を高めることを目指す、戦略的なOSと言える。

 特に、MacBook AirやMacBook Pro Retinaディスプレイモデルなど、最新のアーキテクチャで作られたMacを使っているユーザーは、Mountain Lionの機能をフル活用することができる必須のアップデートとなるだろう。

ダウンロード後20分で終わるアップグレード

Mountain Lionのデスクトップ
Mountain Lionのデスクトップ

 筆者のマシンは、以前レビューでもご紹介したMacBook Pro Retinaディスプレイモデル。Mountain Lionを前提に設計されたマシンであり、そのアップデートも非常に簡単だった。その手順は基本的にMac App Storeで行う。

 早速Mountain Lionをダウンロードしようというところなのだが、約4Gバイトのサイズをダウンロードしなければならないため、回線の状況によって30分から1時間、あるいはそれ以上の時間を待たなければならない。OSをダウンロードする前に、SafariやPages、KeynoteなどのAppleが提供するアプリケーションのMountain Lion対応版へのアップグレードを行っておくとよいだろう。

 ダウンロードが終わって開いた画面で「続ける」のボタンを押すと、アップグレードの作業が始まる。インストール時間は、マシンの環境によって異なるが、512Gバイトのフラッシュストレージを搭載した手元のマシンでは、約20分ほどですべての作業が完了していた。HDDモデルだともう少し時間がかかることになるはずだ。作業自体は何も困ることも発生せず、他のアプリをMac App Storeでアップグレードするような簡単さでOSのバージョンアップが終了した。

準備で気付くクラウド化の進展

一度Mac App Store購入したものは、再インストールも簡単だ
一度Mac App Store購入したものは、再インストールも簡単だ

 ちなみに筆者のように猪突猛進で新OSを速く使いたいということでなければ、ある程度の下準備をしておくことをおすすめする。多くの場合は驚くほどすんなりと終わるはずだが、各種データ、音楽や写真などのメディア、アプリなどを導入して行くことがポイントだ。

 シンプルな方法として、持っていると何かと便利なUSB接続の外付けHDDにドキュメントのデータなどをコピーしておく。iTunesのライブラリは「ミュージック」フォルダの中にある「iTunes Library」のフォルダをコピーしておけばよい。またiPhotoの写真は「ピクチャ」フォルダの中にある「iPhoto Library」をコピーすればよい。ただ、本当にこの作業は必要なのだろうか。

 筆者の場合、何も考えずにアップグレードを進めたが、仕事で使うファイルはDropboxに入っている状態なので、バックアップの必要はない。またiTunesについては、CDから読み込んだ音楽がたくさん入っている一方で、iTunesから購入した楽曲は再ダウンロードができる。アプリも同様だ。またメモはEvernoteに取っているので、そもそもバックアップの心配はない。

 そう考えると、写真のライブラリ以外はすべてクラウド上にデータもしくはデータ使用の権利が記録されて引き継がれるため、実際のHDDでバックアップを取る必要性がかなり低い状態になっている。古くからMacを使って来た人ほど、過去の資産の「呪縛」とも言うべきデータが存在するだけで、より最近iPhoneやMacを使い始めた人の方が、クラウド上からデータやアプリを取り出せるようになっているかもしれない。

 筆者も含めて、何らかのタイミングで、過去の呪縛をふりほどく必要があるだろう。例えば、iTunesライブラリにCDから読み込んだ楽曲を認証してクラウドから高音質版をダウンロード可能にしてくれるiTunes Matchなどはそのツールの1つと位置づけられる。ちなみにiTunes Matchはまだ日本のストアでは対応していない。

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