(編集部注:Appleが米国時間7月25日にリリースした「OS X Mountain Lion」のレビューを前編と後編の2回に分けてお届けします。今回は、その前編になります。後編は明日の公開を予定しています)
2つのOSをめぐる物語の中で、Appleの「Mountain Lion」は野心の面では控えめな取り組みだ。Microsoftが「Windows 8」でストーリーを書き換えようと試みているのとは異なり、Appleの最新OSは、単に整理整頓をして散らかったものを片付ける一方で、クラウドや共有のための機能を追加し、特にデスクトップを「iOS」とうまく連携させようとしている。新機能のいくつかはiOSから直接持ち込まれており、その多くは歓迎すべき機能だが、不要に思えるものもある。最終的にユーザーが手にするのは、おなじみのApple製OSのレイアウトに加えて、Windows 8のすっかり新しくなったタッチスクリーン対応インターフェースで必要なものよりもはるかに緩やかな習熟曲線である。
Mountain Lionは、まったく新しい猫科の動物が登場するというリリースではなく、Appleがインクリメンタルアップグレードを提供する2度目のケースだ(以前には「Leopard」から「Snow Leopard」へのアップグレードがあった)。しかし、機能や名前のアップグレードが控えめだからといって、Mountain Lionを真剣に検討するのを思いとどまるべきではない。Appleはこのアップデートで劇的な変化をもたらそうとしているわけではないが、「Safari」からメッセージ機能まであらゆるものを改善するとともに、新しい「iCloud」と、デバイス間の移動を簡単にする共有機能を追加している。
Windows 8は、ユーザーインターフェースを完全に作り直すことで、タッチスクリーンタブレット市場に頭から飛び込んでいったが、Appleが実施したのは、既に利用されているものの改良だ。Mountain Lionと、Windows 8の初期バージョンの両方を使った経験に基づく筆者の意見としては、Appleの方が賢い選択をしている。モバイルOSとデスクトップOSを区別しておくことで、Appleは引き続き、それぞれのデバイスで最高のエクスペリエンスを提供できる。
Mac OS X Mountain Lionのインストールには、わずかながらもいくつかのステップが必要だ。まず「Software Update」を起動してMac App Storeの最新アップデートを確認する。メジャーアップデート前にAppleの主要アプリケーションのバージョンが最新であることを確認するのは、常に良い習慣だ。
その後はMac App Storeを開き、アップグレードを購入し、ダウンロードを開始するだけだ。ただし、Mountain Lionを購入するためには、「Mac」または「iTunes Store」経由でAppleのアカウントを取得しておく必要がある。このOSの容量は約4Gバイト(映画1本のダウンロード容量とほぼ同じ)のため、接続環境によっては就寝前か出勤前にダウンロードを開始するとよいかもしれない。ダウンロードが完了するとMountain LionのインストーラがDockに表示され、自動的に起動する。
Mac OS X Mountain Lionは適所にインストールされるので、ディスクを別途用意したり、外部ドライブからインストールしたりする必要はない。すべての写真、文書、アプリケーション、その他保存されたファイルは、アップグレード終了時にはそのまま残っている。インストールが完了するとMacは自動的に再起動し、使える状態になる。
iCloudが登場してから初めての主要なOSリリースであるMountain Lionには、新しいクラウド機能がいくつか組み込まれ、多くのアプリに統合されている。
新しい「Mac」を手にしたユーザーにとって便利なのは、自分のApple IDを使って「Setup Assistant」にサインインし、自分のアプリの設定をすべて同期できる新機能だ。電子メールや連絡先、カレンダー、FacebookやTwitterのアカウントなどは、自動的にほかのデバイスと同期され、Apple IDを入力すればMac上で使う準備ができる。これは、新しいMacを初めて設定するiOSユーザーにとっては嬉しい機能になるだろう。Mountain Lionの新しい共有機能のすべてをすぐに利用できるからだ。ただし、1つ言及しておかなければならない重要な点は、Appleによると、Facebookの統合機能は2012年秋に予定されている無償アップデート時に追加されるということだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス