グリーは8月3日、都内において開発者向けカンファレンス「GREE Platform Summer Conference 2012」を開催し、代表取締役社長の田中良和氏が講演を行った。
冒頭では、ここ最近のGREEにまつわる出来事を振り返った。特に大きなトピックとなったのがコンプガチャ問題。「ソーシャルゲームが多くのユーザーに楽しんでいただけるようになったことは素晴らしいこと。ただ、5年ぐらいで非常に大きな存在になったことを受けて、社会的な要請に応えられるサービスにしていかないと、社会に受け入れられないものになると、強く自覚する必要がある」とした。自社としての取り組みのほか、ソーシャルゲーム利用環境整備協議会(仮称)に向けた設立準備委員会の設立なども紹介。「日本における最適なビジネスで社会から受け入れられるかを、自ら考え自ら律する姿勢を打ち出すのが大事。さらに業界内のルール作りだけではなく、社会のさまざまな方からの意見も受け入れて、我々自身の行動を評価してもらう仕組み作りが必要」と、真摯な姿勢で取り組むことを説明するとともに、パートナー企業の協力と理解を求めた。
この5月にはモバイル向けシミュレーションRPGを手がける米国のFunzioを買収。また「GREE Platform」も最大169カ国に向けて配信可能な状態となっており、日本以外のマーケットに売り込むためのノウハウも蓄積し、その情報を提供しながら成長していきたいとした。Funzioのゲーム「CRIME CITY」や「MODERN WAR」が、諸外国におけるiPadでの売り上げで1位になるような現象が見られるようになったとし「特に北米ではiPhoneだけではなく、iPadのマーケットも大きいと見ているので注力していきたい」と考えを述べた。
日本国内に目を向けると、バンダイナムコゲームスと包括的な業務提携を発表し、6月には「NARUTO-ナルト- 忍マスターズ」を配信。今後も「テイルズ オブ」シリーズの「テイルズ オブ カード エボルブ」のほか、プロジェクトの再開が発表された人気シミュレーションRPG「サモンナイト」シリーズや、熱狂的なファンを持ち幅広い展開を見せる「アイドルマスター」シリーズのソーシャルゲームなど、さまざまなIPタイトルを投入していく。また「探検ドリランド」のテレビアニメ放送やフジテレビとの提携なども発表。「よりよいゲームを作る概念の中には、よりよいキャラクターを作り、IPを作っていくことも含まれる」とし、IPビジネスへの意欲も含めて新しい試みや領域に踏み込んで開拓していく姿勢を示した。
今後については、世界のゲームイベントに出展しモバイルゲームを知ってもらう取り組みとして、これまで「E3」や「東京ゲームショウ」、「ChinaJoy」など主要のゲームイベントに出展し続けており、ヨーロッパ最大級のゲームイベント「gamescom 2012」へ出展が決まっている。また9月をめどに「GREE Platform」の14カ国語への対応。そして7月~9月には約60タイトル、12月末までには数百タイトルを順次リリース予定としている。
海外展開について田中氏は「グローバルで展開をするビジネスは初めて」と前置きしながら、現在取り組んでいることとして、米国スタジオと日本のゲームにおけるKPI(業績評価指標)を比較し、さまざまなノウハウや具体的な目標設定ができつつあるという。そして特に力説していたのが、「全世界に向けてリリースしていくということは、製品作りやマーケティングのやり方を変える必要もあるが、大切なのは会社で働いている社員の意識」とし、続けて「業務オペレーションも全部変える必要がある」とした。ひとつの例として「ユーザーデータをエクセルの表にしたとして、男女や年齢、OS別などを作ればよかったが、これからは一番右の列に国別の項目を作らないといけない。そういう細かいところから、データのフォーマットや会議の発表方法、意思決定のフローなど、全世界を意識した業務オペレーションの体制にする必要があるし、我々も作り変えている状況」と述べた。
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