世界最軽量を目指した「13.3型で900g未満」、NEC PCのスタンダードである「堅牢性」、国内最薄の「厚さ15mm未満」この3つは、「どれかを頑張るとどれかが犠牲になるトレードオフの関係」と機構設計を担当したNECパーソナルコンピュータ 商品開発本部の梅津秀隆氏は言う。
「どうやって実現するか。匠の技への挑戦だった」と語る。まず、LCDユニットをバラバラにし、使われていた金属フレームを削除し、フレーム分の強度をマグネシウム外部部品で補った。「金属フレームを削除することで厚さ0.3mmの削減、重さは4gの削減になる。少ないと思うかもしれないが、そういったことが薄型化に結びついている」と語る。
このほかにも、筐体一体型キーボード設計によって厚さ1.0mm、重さ15.0gを削減。必要最小限の仕様に割り切ることで、基板を薄型軽量化した。
カラーバリエーションがないことも、軽量化できた理由の一つだ。「カラバリがないのかと気にされるかもしれないが、もう1色重ね塗りすると、1g増える。形と色、スタイリッシュに仕上げることでいい製品ができているということで、カラバリは軽量化に回した」(梅津氏)と説明する。
デザイン面での折衝はまだある。「NECのロゴを光らせたい」──デザインチームの要求を実現するためには通常LEDを付ける必要があるが、1g重くなることになる。解決策として、ロゴにホログラムを入れることで特長を出した。そういった小さな1gの戦いを積み重ねた結果が、約875gということだ。
なお、底板にマグネシウムリチウム合金を起用したことによる重量の削減効果は16gほどだという。「たかが16gと言われるかもしれないが、最軽量の装置を作る中で1g削るにはすごく苦労がある」と柳澤氏は語るが、これらの話を聞くと「たかが」とは思えなくなってくる。
今後はさらに開発を進め、天板やキーボードなどにもマグネシウムリチウム合金を起用できれば、より軽量化できる見通しだ。「さらに軽くする技術は筐体以外にもいろいろと工夫している。たとえば、ハンダ量。パッドの形状を変えてハンダ量を変えたことがある」(小野寺氏)という。さらなる“世界初”への期待が高まりそうだ。
LaVie Zの発表後、「NECの底力を見た。変わったねという声をいただいている。今後もそういっていただけるような技術を出していく」──そう語るのはNECパーソナルコンピュータ 商品開発・商品企画担当執行役員の小野寺忠司氏だ。
2011年に発足したNECとレノボの合弁体制により、NECのパーソナルコンピュータ事業を行うNECパーソナルプロダクツはPC事業を分離し、新会社として「NECパーソナルコンピュータ株式会社」を設立した。
同じPC事業を持つレノボとの棲み分けのため、同社が追求するのは、「安心・簡単・快適」と「イノベーション」だという。初級者から中級者、ファミリー層に安心して使ってもらえる商品と、先進機能を求めるアーリーアダプターがワクワクするような商品を目指すとしている。
小野寺氏は、「イノベーションがあってこそのNEC。技術をリードできる会社であり続けることを意識している」として、(1)驚きと感動(2)先行市場投入へのこだわり(3)世界一、世界初の技術──の3つを軸に、製品を開発していくとした。
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