ほんの1gの積み重ね--13.3型で約875g、NEC PC「LaVie Z」が薄型・軽量化できた理由

坂本純子 (編集部)2012年08月02日 14時00分
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 最近のノートPCのトレンドは、薄型・軽量だ。だが、軽量とはいっても11.6型サイズでさえ1kgを切るものは少ない。見た目は薄いPCが、実際に手にしてみると見た目よりも重い気がする──。そんな経験を持つ人は意外と多いのかもしれない。

8月23日に発売予定の「LaVie Z」
8月23日に発売予定の「LaVie Z」

 そんな中、13.3型ワイドディスプレイ(1600x900ドット)を採用しながら最厚部約14.9mmで重さは約875g。世界最軽量のUltrabookとして話題になったのがNECパーソナルコンピュータの「LaVie Z」だ。間もなく、8月23日に発売となる。

 NECパーソナルコンピュータは8月1日、記者向けに説明会を開催し、開発背景や製品化にあたっての開発秘話を明かした。

900g以下を目指した理由--ニーズと市場の先進性


企画を担当したNECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部の中井裕介氏

 そもそも、なぜLaVie Zで世界最軽量を目指したのか。NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部の中井裕介氏は、「『こんなに薄いのにこんなに重いの?』とがっかりするということがあった。であれば、薄さに妥協することなく、モバイルユーザーに求められている薄さと軽さでナンバーワンを目指そうと思った」と商品コンセプトの背景を語った。

商品コンセプトの背景
商品コンセプトの背景

 結果的に約875gまで落とし込んだLaVie Zだが、開発にあたっては「900g未満」を目指したという。現在の売れ筋のタブレットはおよそ650g未満。Bluetoothキーボードは200g程度で、タブレット+キーボードは800g台。また、PCを外に持ち運んで使ういわゆる“ピュアモバイラー”が求める軽さも800g台だったという。2011年のノートPC市場は、13.3型で1.1kg~1.4kg、11.6型で1.1kg前後だったことから、2012年は1kgを切るモデルが登場するだろうと予測。

 ユーザーのニーズと市場での話題性を考え、「ダントツナンバーワンを目指すには、そういった理由から900gを切るものを、と開発にお願いした」(中井氏)と語った。

“7社のサムライ”たちが手がけた「マグネシウムリチウム合金」開発

技術戦略部における開発体制とは
技術戦略部における開発体制とは

 筐体一体型ディスプレイ設計や筐体一体型キーボードなど、さまざまな工夫を重ねているが、NECパーソナルコンピュータがもっとも力を入れたのは、筐体の素材だ。独自に新規開発を行った超軽量マグネシウムリチウム合金を本体の底面に採用している。

 NECパーソナルコンピュータには、業界の技術トレンドをウォッチし、技術ロードマップを幹部へ定期的に答申する社内の開発体制があるという。実はこの超軽量マグネシウムリチウム合金も、世界最軽量の合金になるとの確信から、2009年7月に提出したものの一つで、「ほとんどのテーマはダメといわれる」(NECパーソナルコンピュータ 商品開発本部の柳澤恒徳氏)という。

マグネシウムリチウム合金との出会い
マグネシウムリチウム合金との出会い

 マグネシウムリチウム合金は、1950年代に米国バッテル研とNASAで研究されたもの。一般的な軽量PCで使われるマグネシウム合金と比べて、比重は約75%、アルミニウム合金と比較すると約50%なのだという。プラスチック並の比重を魅力とする一方、合金の高純度化と表面処理に関する課題の克服が困難で、これまでミサイルや宇宙船向けの軽量部品など、特殊な用途向けのみとされており、一般向けには実用化されてこなかったという。

 そこで、外部の協力会社を探し始めた。中国と日本の会社を多数訪問し、柳澤氏自身の目で見て回ったが、簡単なことではなかったようだ。

 「誰も触ったことのないものに『ご協力ください』というのは、飛び込み営業にいくようなもの。少しでもモチベーションを上げていただきたいと、LaVie Zの試作機を持って行った」とエピソードを語る。

 「効果的に見せるため、A4の封筒にLaVie Zを入れて行き、何ごともないように試作機を出して、これですと。相当驚いていただき、モチベーションを上げてもらった。その会社の封筒をたまたま使っていたことではずみがついて、幹部の方に『世界初に挑戦しましょう』と言っていただけたこともあった」とエピソードも披露した。

 短期間で開発するため日本でチームを結成。素材作成、圧延、研磨、切断、プレス、表面処理、塗装、これらの工程を計6社に依頼し、関わった第一線のキーマンは40名以上。NECパーソナルコンピュータを含めた7社を「七人の侍」と表現した。

 開発中にはさまざまな課題にぶつかったが「困ったら、素材の声を聞け」と材料の素性に立ち返り、解決してきたとした。

  • 開発中にぶつかった課題と解決方法

  • 力尽くではなく、「困ったら、素材の声を聞け」

  • 協力会社との共同開発体制

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