「OS X Mountain Lion」レビュー--注目の新機能を解説（前編） - (page 4)

　Safariに加えられたアップデートの最後の仕上げは、いくつかの追加機能によって、サイトへのアクセスがよりスムーズになることだ。Appleは、JavaScriptベンチマークテストの「SunSpider」を用いて、Safariをテストしたとしている（明らかに社内で行われたようだ）。その結果、Safariは「Internet Explorer 9」「Firefox 13」「Chrome 20」よりも速かったという（順序もこの通りだ）。Safariではまた、GPUを使ってハードウェアアクセラレーションを改善しており、その結果、スクロールが著しく滑らかになり、ページの読み込みが速くなった。新しい「Offline Reading List」では、ウェブページを保存してオフライン時に閲覧できるため、これから飛行機に乗る、または通信サービスの圏外になるといった時に便利だ。Safariは「Do Not Track」機能（Google Chromeの「Incognito」モードのようなものだ）や、頻繁に訪れるサイトのための「Password AutoFill」機能もサポートしている。

　Safariはインターネットへの窓口として、コンピュータに搭載されているソフトウェアの中ではおそらく最も重要なものだ。そしてMountain Lionでは、AppleはSafariを競合ブラウザのレベルに押し上げることに成功しており、基本的なタスクをより簡単にするいくつかの追加機能（Tab Viewや「Sharing」、iCloud Tabsなど）を用意している。

「Game Center」がMacに登場、ただし完全ではない

　Mountain Lionでは、複数のコアアプリを横断する、iCloudの即時マルチデバイス同期機能が重要になっているが、Mac OS Xに初めて登場する「Game Center」からはそのことが感じ取れない。Game Centerは、iOSのソーシャルゲーミングハブとしては一貫してパワー不足であり、iOSのゲーム愛好者を常に落胆させてきた。そしてMacに登場しても、その状況が変わることはなさそうだ。

　Mountain LionのGame Centerは、「Leaderboard」や友達の情報、ゲームマッチングといった、iOSバージョンにある機能をすべて備えており、iPadバージョンとかなり似通った形で登場している。しかし、あらゆるゲーム愛好家向けソーシャルネットワークインターフェースの普及に貢献したもの（そしてコンソール上での同時プレイに間違いなく不可欠なもの）とは、ログインをして、友達が現在どんなゲームをプレイしているかを確認してそこに参加したり、ほかのゲームを勧めたり、もしくは金曜日の午後の仕事を怠けて遊んでいるのは誰かをただ眺めたりできる機能だ。この種の機能は、たとえユーザーを招き入れる強力な要素には欠けているとしても、明らかにiCloud向きのものに思える。今回のMountain Lionがこの機会を逃していることを、筆者は残念に思っている。

　Mac OS版Game Centerの有望な機能のほとんどは、ユーザーの目に見えない部分に存在している。「Game Kit」APIを利用すると、開発者は複数のデバイスをまたいでプレイできるマルチプレーヤーゲームを作れる。したがって、例えば、Mac上でプレイしているユーザーが、iPhoneやiPadを使用する友達を相手にすることが可能だ。これは、Windows 8プレビュー版と「Windows Phone」「Xbox 360」で提示されている機能によく似たマルチプラットフォームアプローチだ。

　性能や機能が十分ではないにせよ、それをMountain Lionで実現したことは、Macデスクトップおよび「MacBook」におけるゲーミングを改善するAppleの動きなのかもしれない。iOSからゲームを移植する動機付けを開発者により多く与えることで、Macのゲーミングは再び活性化するかもしれない。ただし、サードパーティーの開発者がどのような反応を示すかについては、今後の成り行きを見守るしかないだろう（後編に続く）。

MacのGame Centerでは、友人がプレイしているゲームの情報やランキング表を見ることができる。また、既に所有しているゲームに基づきおすすめの新作ゲームが表示される。
提供：Screenshot by Jason Parker/CNET