テクノロジコンサルタントが中小企業の実質的なIT要員となって働くというケースが増えてきている。給料制のIT要員が、会社のコスト削減策の一環として解雇されるのはよくあることだ。その結果、エンドユーザーはほとんど常にと言っていいほどサポート不足の状態に陥っており、コンサルタントがウイルスの除去やソフトウェアアプリケーションのインストールを行うために訪問した際に追加サービスを要求してくるのである。こういったことがあまりにも多いため、筆者のコンサルタント会社では、社内に技術サポートを用意していない顧客への対応を行う際には所要時間を長目に見積もっておき、予定外の作業が入っても時間内に終えられるようにしている。これが、次のスケジュールに遅れないようにするための唯一の方法なのだ。
われわれは電子レンジ社会に身を置いている。誰もが何かをすぐに手に入れられると思っているのだ。待つのが好きな人間なんてこの世にはいない。そのことは理解できる。そして中小企業は、競争力や利益、企業のあり方を維持しようと苦闘している。そんな時にシステムが障害を起こしたり、電子メールの遅滞が発生したり、プリンタが動作しなくなると、企業活動が麻痺するのだ。そして、テクノロジコンサルタントに対しては、即座に問題を解決することが求められる。こういった求めには新たなノートPCやデスクトップPC、ネットワーク機器、サーバを今すぐ調達するというものも含まれている。コンサルタントを末永く続けていくには、クライアントが要求しそうな機器やソフトウェアをあらかじめ用意しておく必要があるわけだ。こういったコンサルティングにおける唯一の難点は、たいていの場合にクライアントはこちらの思惑通りの期日に支払いを行ってくれないというものである。筆者の経験では、ほとんどのクライアントは請求書の発行後45〜60日後に支払いを行う。このため、コンサルタント会社はキャッシュフローをそういった支払い期日に合わせるよう気を付けておくべきである。
残念なことに、うまく行った時のことはあまり覚えていないというのが人間の性である。一方、苦心したことや試練、悲惨な出来事はしっかりと記憶に刻み込まれる。コンサルタントの顧客も同じである。顧客が重要なシステムに接続されているハードディスクのエラーに悩んでいる場合、運が良ければ障害を抱えたマシンをすぐにリプレースできる適当なシステムを用意できるかもしれない。運良くそういったマシンが手元にあるのであれば、ディスク不良によって「Windows」が破損していたとしても電子メールや文書、スプレッドシート、財務データ、アプリケーションを移行し、プリンタを障害のあるシステムから新しいコンピュータに接続し直すことができるはずだ。しかしクライアントの「iTunes」の音楽ライブラリを移行し忘れた場合、彼らはそのことだけを覚えており「君は音楽の移行をし忘れたコンピュータ技術者だよね。音楽の移行は難しいのかい?ハハッ」などと声を掛けられるのだ。打たれ強くないとコンサルタントは務まらない。これこそが本当に必要なことだ。それとついでに、移行時のチェックリストも用意しておいた方がよいだろう。
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