ギークの時代はかつて、永遠に続くかのように思えたものの、ユーザーの期待が時とともに変わるにつれ、IT部門、およびIT関係の仕事の未来も劇的な変化を余儀なくされている。
15年ほど前であれば、どのような仕事をしているのかと尋ねられて「コンピュータ関係です」と答えようものなら、羨望のまなざしで見つめられ、「高給を得ているだけでなく、仕事の心配などとは無縁の世界に住んでいるはずだ」という相手の思いを肌で感じることができたものだった。
当時は「IT関係のスキルを有した人材の不足」が全国的なニュースとなっており、米国ケーブルテレビ局のインフォマーシャルでは、2週間の講座を受講するだけでネットワーク管理者やヘルプデスク担当の技術者になれ、年間7万ドルを稼ぎ出すIT技術者への道が開かれると謳っていた。
このような謳い文句が完全な絵空事であったことは、この際どうでもよい。ただ、こういったインフォマーシャルの存在自体、IT関係の仕事が世界で最高の仕事の1つだと見なされていたことの象徴だと言えるだろう。当時は、世界中にデジタル化の波が押し寄せ、IT業界は今後何十年もの間、素晴らしい就職先であり続けるだろうと考えられていた。
では、何が起こったのだろうか?
アウトソーシングというトレンドが生み出された。また、オフショア開発が盛んになった。さらに膨大な予算をかけたITプロジェクトがいくつも失敗した。そして、IT関係の予算が縮小の憂き目に遭った。
従来のIT部門に課されていた役割が縮小していった背景には、これらすべての要素があったと言えるだろう。しかし本当の原因は、こういったテクノロジを実際に使用する人々の抱く期待が劇的に変化したことにある。
ここで述べている実際に使用する人々というのは、業務部門の従業員のことである。彼らはIT関係の購入にまつわるすべての意思決定や、あらゆる機器の設定、すべての障害対応をIT部門に任せていた。なんと10年前には、彼らの半数がマウスの接続方法すら知らなかったのだ。
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