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ワイヤレス充電「Qi」が提案する新充電スタイル--パナソニックが説明会を実施

加納恵 (編集部)2012年07月05日 18時39分
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 パナソニックグループ エナジー社は7月5日、ワイヤレス充電システム「Qi(チー)」規格に関する説明会を開催した。Qi規格の商品内容から、同社が展開する対応商品、今後の取り組みなどについて説明した。

 ワイヤレス充電規格Qiは、2008年に設立したWireless Power Consortium(WPC)が推進する国際標準規格。パナソニックグループの三洋電機では、WPCの設立メンバーとしてQi規格の標準化に取り組んでいる。


三洋電機エナジー社充電システムビジネスユニットビジネスユニット長の佐野正人氏

 三洋電機エナジー社充電システムビジネスユニットビジネスユニット長の佐野正人氏は「携帯電話やデジタルカメラなど現在のデジタル商品は、それぞれに充電池が存在し、それに応じた充電器が必要になる。家の中は電源アダプタと充電器がデジタル製品の数だけ必要になり、それぞれ待機電力がかかる。しかも本体を使わなくなった途端、それに付随する電源アダプタ、充電器も廃棄しなくてはならない」と、充電器の現状について話す。

 Qiは「モバイル機器ごとに必要になる充電器」「それぞれに必要になる待機電力」といった部分を共通化することで、ムダを減らし煩雑な電源周りをシンプルにさせる規格だ。現在NTTドコモの携帯電話などに採用されているほか、対応の充電パッド、充電池カバーなどが販売されている。

 「ワイヤレス充電自体はかなり前から存在した技術。電動歯ブラシや電話の子機などに使われていた。しかし数十mW以下の小さな電力しか扱えず、充電器と充電池は一対一の関係で互換性がなかった」と佐野氏はQi登場以前を振り返る。Qi規格はワイヤレス充電の便利さ、信頼性をそのままに互換性を持たせたものだ。

 ワイヤレス充電は、充電器(送電側)と充電池(充電側)にコイルを搭載し、金属接点を介さずコイル間の電磁誘導を電力で伝送する技術。Qi規格に対応した製品であれば、どのブランドの充電器、充電池であっても充電ができるという互換性を持つ。

 充電方式は複数コイルを搭載する「多コイル方式」、「マグネット方式」、充電コイルの位置を検知し、送電コイルを移動させる「ムービングコイル方式」と主な3つのほか、現在12方式が認可されているという。

  • Qi規格は現在100以上の企業にサポートされている

  • 充電方式は主に3つある

 パナソニックグループでは、どこにおいても充電ができ、電波障害が少ないとされるムービングコイル方式を採用。充電パッドの「Charge Pad」シリーズを発売するほか、デジタルレコーダー「DIGA」に充電パッドを搭載した「DMR-BZT920」、Qi対応スマートフォン「ELUGA V」といった製品を展開している。

 佐野氏はムービングコイル方式のメリットを「安定性が高く充電効率が良い。ワイヤレス充電は充電器と充電池の間に異物が入ると安全性が懸念されるが、異物を高精度で検出し、充電を制御できる」と話す。充電池側にもコイルを内蔵するため、小型化がむずかしいとされるが「回路基板を側面に配置するなど大きくならないように工夫している」と話した。

  • ムービングコイル方式を採用した充電パッドの内部構造

  • ムービングコイル方式を採用した充電パッドのスケルトンモデル

  • 電池パックの内部構造

  • 電池パックのスケルトンモデル

 現在Qiでは、携帯電話やスマートフォンの充電ができる5Wの「ローパワー」と呼ばれるカテゴリの製品を発売しているが、今後はポータブルPCや電動工具などに利用できる120Wの「ミドルパワー」、電気自動車なども充電できる1kW「ハイパワー」の開発を予定している。

 Qi規格対応製品の市場規模は「2011年3月時点の数字だが、2012年は350万台、2014年には700万台規模まで拡大すると予測している」とのこと。市場別では欧州、米国の割合が高いが「商品展開は日本が最も進んでいる」と言う。

 市場規模の拡大が期待されるワイヤレス充電だが、対応機器とともに広がりが期待されるのはインフラ関連。現在NTTドコモが「プロント」や「全日空ラウンジ」にて、Qi規格の充電台を設置しているほか、パナソニックグループでも「タリーズ」や「ワイヤードカフェ」などに2013年3月まで充電台を設置する「おくだけ充電」体験キャンペーンを展開しているとのこと。5月現在で約90カ所ある設置先を2012年9月には約500カ所まで拡大させる。

 「おくだけ充電体験キャンペーンでは、Qi非対応の機器でも充電を体験できるよう充電アタッチメントを用意している。利用者アンケートでは満足度が高く、リピータ確保に活用いただける」と評判を話す。

 佐野氏は、今後の展開を「電源だけでなくデータ通信もできる機器を2013年をめどに展開していくほか、2015年までにはミドルパワー、それ以降にはハイパワーの商品まで拡大していきたい」とした。

 なお、7月11~13日まで東京ビッグサイトで開催される「テクノフロンティア 2012」にWPCブースが出展される。

  • パナソニックが現在発売しているQi対応製品

  • 海外のワイヤレス充電インフラの紹介。テーブルや車載タイプがある

  • 今後の展開

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