6月28日、「ゲーミフィケーションカンファレンス2012」において、「ソーシャルゲームは最強のゲーミフィケーション?」と題したパネルディスカッションが行われた。
モデレーターはループス・コミュニケーションズの岡村健右氏、パネラーとしてgumi代表取締役の國光宏尚氏、エンタースフィア代表取締役社長の岡本基氏、グリーメディア事業部の田中剛氏が登壇。コンシューマゲームからソーシャルゲームへの変遷について、そしてソーシャルゲームのテクニックがゲーム以外の領域にも活用できるかを語った。
冒頭で岡村氏は、ソーシャルメディアとゲーミフィケーションはすごく相性がよく、最強の組み合わせと考えていると切り出し、ソーシャルゲームがゲーミフィケーションを一番活用していると述べた。
はじめはコンシューマゲームとソーシャルゲームの違いについて語られた。岡本氏は違いに「参加人数」を挙げた。コンシューマゲームについては子供のおもちゃから発展したところから、ひとりやふたり、あるいは4人、ネットワークが入ってきて数十人ぐらいが参加する小規模のもので、めんこのようにその場で勝った負けたみたいなものが付けて楽しむものとした。一方のソーシャルゲームについては、まず人数が数千人から数十万人が参加し、そこで勝ち負けや優劣が付く仕組みで、SNSにも紐付き記録にも残っていくという。
作る立場として難しいのは、参加者全員を楽しませることにテクニックが必要であることだとした。「たとえば『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』のようなRPGは、物語を作り冒険をして感動すれば100万人全員満足してくれる仕組みです。ある意味では映画でも同じことが言えるし原理的には100%満足というのが出せるメディアです。でもソーシャルゲームは数千人以上が一度に参加するものですから、全員を接待するかのように満足をさせることは難しいんです。極端なたとえで言うと、会社の上に立ち、数百万人の社員全員を満足させることってどれだけ難しいんだろうというのと同じです」と語り、その満足させるノウハウは、これから業界としても身に着けないといけないとした。
國光氏はゲーミフィケーションが注目されるようになった要因として、現代は物があふれかえって需要がなくなっているとした。「昔は冷蔵庫や洗濯機のように、絶対的に便利だと分かるものを作れば売れていた。でも今は物があふれかえって需要がない。でも物が売れないと経済が回らないなかで、いかに需要を生み出すかが求められている気がします」とした。
いかに物を買ってもらうモチベーションを上げていくかと同時に、重要なポイントとして、人生そのものをモチベートすることも挙げていた。「ソーシャルゲームは必要ない。生産性は上がるのかという指摘はあります。でも世の中に必要なものや便利なものは行き渡ってると思うんです。これからはもう少し自分が楽しく過ごせる、気持ちよくできる方向に向かっていると思うんです」とした。そしてソーシャルゲームにおけるゲーミフィケーションの大きいポイントとして、一日2分程度のちょっとしたアクセス時間で新しいことが起こって何かが起こっている楽しさとした。
田中氏はソーシャルゲームとコンシューマゲームで、基本的にゲームの遊び方そのものは変わっておらず、大きいポイントとしてゲームハードを購入することを挙げた。「コンシューマゲームはゲーム機を買わないと遊べないですが、ソーシャルゲームはPCないしはモバイルという、日常に使っているもので遊べることが大きい。通信費を除けば、多くのゲームは無料で遊べる入り口が設けられています。その先に、いかにユーザーにモチベーションを与えていくかがポイントで、絶対数が多ければ多いほど面白い仕組みになっているので、そこがコンシューマと違う」という。
また、ソーシャルゲームの難しさとして「想定外のことが起こる」こととした。「コンシューマゲームはある程度終わりを作り、そこまでユーザーがどう遊ぶかを想像しながら作るんですが、数十万人いると想定してない遊び方をする方もいるんですね。そこをどうやって満足させるかはまだまだ勉強している最中です」。
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