Appleの共同創設者であるSteve Jobs氏の伝記映画が公開される予定となっている。その脚本を担当しているAaron Sorkin氏によると、Jobs氏について書くことは、ある意味においてThe Beatlesについて書くこととよく似ているという。
アカデミー賞の受賞経験もある脚本家兼プロデューサーのSorkin氏が米国時間5月30日に「D10」カンファレンスのインタビューで語ったところによると、Jobs氏の伝記映画の脚本を作り上げる作業は現在、「緒に就いたばかり」であり、その仕事は資料を前にして書き上げていくという単純なものではないという。
All Things Digitalによる一連のカンファレンスの発起人であり、今回インタビュアーを務めたWalt Mossberg氏に対して、Sorkin氏は「わたしが長い時間をかけることになる作業は、気楽な傍観者としての目から見ると、執筆作業には到底見えないだろう」と冗談交じりに述べている。同氏は、自らの作業が「素人目には、ESPN(スポーツ専門チャンネル)を観ているように映るだろう」と語っている。
Sorkin氏によると、この脚本の執筆作業は「頭の中で熟成させる段階」にあったものの、物語の構造としては、Walter Isaacson氏の手によるJobs氏の公式伝記本とはまったく異なったタイプになるはずだという。
Sorkin氏は「Walter Isaacson氏の執筆した伝記は大変素晴らしいが、伝記の映画化という作業では、これまでに優れた作品が世に送り出されているとはいうものの、揺りかごから墓場までという物語構造に縛られないようにするという点が非常に難しい」と述べたうえで、「このためわたしは、人と人とのあつれきに着目し、それをドラマ化していくつもりだ」と述べている。
Sorkin氏はインタビューのなかで、脚本を引き受けるかどうか迷ったと述べ、その理由として特に、Jobs氏の波瀾万丈の人生や一筋縄ではいかない個性が世の中に広く知られているという点を挙げている。
Sorkin氏は「わたしが迷った理由の1つは、この仕事がThe Beatlesについて書くようなものだからだ」と述べたうえで、「Jobs氏についてよく知っており、彼を崇拝している人々が世の中にはたくさんいる。このためわたしには、人々の失望しそうなところが数多くあるように思えていた。正直なところ何か(間違い)をやらかしてしまうのではないかという恐れを抱いていた。だがリサーチを終える頃には、この場にいる多くの人々と同じくらいにまでSteve Jobs氏のことについて詳しくなっているはずだ」と述べている。
Sorkin氏は、Ben Mezrich氏が執筆した書籍「facebook--世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」を基に、映画「ソーシャルネットワーク」の脚本を執筆したことで知られている。Sorkin氏によると、Jobs氏と、Facebookの共同創設者であるMark Zuckerberg氏の間には類似点があり、両者はともに「極めて複雑な人物」であるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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