サンタクララ大学ロースクールのTyler Ochoa氏は今回の評決について、「さまざまな要素が含まれている」と評した。同氏は、「いずれの陣営にとっても明白な勝利ではない」と述べ、次の展開について複数のシナリオを提示した。
「2つの可能性がある。1つはGoogleにとって有利なものだ。つまり、それはフェアユースであり、自分たちは著作権法に従っていたとGoogleが信じている可能性だ。もう1つの可能性(Oracleに有利なもの)は、それが著作権によって保護され得るかどうかに関係なく、Googleはとにかく実行の意志を固めていたというものだ。陪審員らが(フェアユースに関して)評決に至らなかった理由はこのあたりにあるのかもしれない。3つめの可能性、そしてGoogleにまだ勝利の可能性があるもう1つの方法は、APIの構造の並びや組織は著作権による保護の対象には決してなり得ない(と裁判所が判断する)というものだ」(Ochoa氏)
Ochoa氏によれば、これは判事が判断しなければならない問題だという。
「判事は、自分が判断しなければならないような事態の回避を望んでいたのかもしれない。陪審員らの評決によっては判断を回避できたかもしれないが、陪審員らは判事にそうさせなかった。陪審員らがフェアユースを、またはGoogleがSunの対応を信頼していたことを認定していたら、判事はそれで問題はないと言うことができた。しかし、陪審員らは判事にそうはさせなかった。したがって、判事が判断を下さなければならない」(Ochoa氏)
Ochoa氏は、「あるいは、判事はフェアユースの問題について再審を認めることもできたし、自分で判断を下すことも可能だった」と付け加えた。
訴訟がここまで進んだ段階で、スタンフォード大学ロースクールのBrian Love氏はGoogleを支持した。
「フェアユースに関する問題に決着がつくまで著作権侵害に関する最終的な決定を下すことはできない、というGoogleの立場を支持する側にわたしは傾きつつある。そして、陪審員らは、Googleの行為がフェアユースなのかどうかについて決断を下せないのなら、Googleが著作権を侵害したと言うこともできない。フェアユースであるとされる行為は定義上、著作権侵害にはなり得ないからだ」
「議論が行き詰まったと陪審員らが言えば、判事は『じっくり考えなさい』と答えると普通は思うだろう。わたしは、判事がこのような評決を受け入れたことに少し驚いている。この裁判にかかったすべての費用や経費を考えてみてほしい。そして、陪審員らが法廷に戻ってきて、『われわれは本訴訟にとって極めて重要な問題に答えを出すことができない』と言ったことを考えると、最終的にはGoogleが欲している結末になるだろう。それは、審判を無効にしなければならないという状況だ」(Love氏)
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