Barnes & Nobleは過去数年間で電子書籍市場に大きく食い込み、Amazonの占める巨大なシェアを切り崩してきた。電子書籍市場の現状を見ると、Amazonが依然として約60%のシェアを握っており、Barnes & Nobleは約25%、Appleは約15%のシェアを獲得している。そして、ソニー、Google、Koboなど市場力の小さい企業が残りのわずかなシェアをめぐって争っている。もちろん、これらの数値はあくまでも概算であり、話を聞く相手によっては、Amazonのシェアは実際には65%に近いと言うかもしれない。
堅実な2番手というのは決して悪いポジションではないが、Barnes & Nobleにとって常に問題となってきたのは、その地位を確保するためのコストと、AmazonおよびAppleからより多くのシェアを奪うのにかかるだろうコストだ。Appleは、「iBook」電子書籍閲覧プラットフォームを着実に強化し、先般は電子教科書への大規模な取り組みを発表した。言うまでもなく、AmazonとAppleはいずれも巨額の現金を保有しており、マーケティングやエンジニアリング、研究開発につぎ込むことができる。一方、Barnes & Nobleは生き残るために闘うのが精いっぱいに見受けられることがある。
そうした中、Barnes & Nobleの「NOOK」デジタルメディア事業からスピンオフされる子会社にMicrosoftが3億ドルを投資することになった。このデジタルメディア事業には、Barnes & NobleがNOOKデバイスで販売している電子書籍や教科書、電子の新聞および雑誌が含まれる。現時点で、Barnes & Nobleの新しい「子会社」の名称は定まっていないが(単にNewcoと呼ばれている)、Nooksoftとでも呼べば良いのではないだろうか(発表に関する記事はこちらを参照)。
当然、この資金提供は重要だ。Barnes & Nobleは多額の資金を投じて、高給取りのソフトウェアエンジニアとハードウェア設計者を雇用し、シリコンバレーに拠点を置く同社デジタル事業を強化してきたからだ(The New York Timesの記事によると、Barnes & Nobleのカリフォルニア州パロアルトのオフィスには既に300人の従業員がいるという)。さらにこの新会社によって、Barnes & Nobleが追加資金を自由に使い、AmazonおよびAppleの巨大な「マーケティング装置」と競争しながら、多くの収入をもたらす可能性を秘めたストックオプションでより多くの優秀なエンジニアを引き寄せられるようにもなる。この提携には、Barnes & NobleがPCやタブレット、スマートフォンを含む「Windows 8」デバイスにNOOK電子書籍ストアを提供できるようになるという別の明白な利点もある。ただし、Windows 8プラットフォームには、Amazonの「Kindle」アプリも提供される予定だ。
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