シャープ、純損失3760億円に--IGZO量産開始で2012年度はモバイル用液晶に期待

 シャープは4月27日、2012年3月期通期(2011年4月~2012年3月)の連結業績を発表した。液晶テレビ、液晶パネルといった主要分野の売上減少により、各利益は赤字、当期純損失は3760億円となった。赤字には、在庫評価減、事業構造改革費用、繰延税金資産取崩などを含む。

 売上高は前年同期比18.7%減の2兆4558億円、営業損失は375億円、経常損失は654億円のそれぞれ赤字となる。売上減の主要因である液晶テレビは、国内需要の大幅減、中国市場の低迷、単価下落などの影響により、売上高で前年同期比27.7%減の5813億円、販売台数は同17.1%減の1229万台と落ち込んだ。同じく液晶パネルに関しても、売上高は同29.8%減の7209億円となった。


シャープ常務執行役員経理本部長の大西徹夫氏

 シャープ常務執行役員経理本部長の大西徹夫氏は「液晶テレビは、米国を中心に60V型以上の大型モデルが販売を拡大し、売上、台数ともに前年を上回った。今後は国内外で大型モデルを拡充する」と施策を話す。液晶パネルに関しては「IGZO液晶の本格量産開始によるモバイル液晶パネルの販売増で2012年度は売上高は29%増の9300億円と予想している。スマートフォン、タブレット端末向けに高精細液晶パネル事業を拡大する」と4月から量産開始が伝えられたIGZO液晶に期待を寄せる。

 「足下の厳しい事業環境を踏まえ、2012年度も予想販売台数は770万台に据え置く」(大西氏)とした携帯電話は、市場競争の激化などから2011年度の売上高が同26%減の3058億円となった。2012年に関しては、最新OSやLTEなどの高速通信サービスなど、基本性能や他社をリードするスペックを実現するほか、デザインを重視した商品開発に取り組む。

 営業損失219億円となった太陽電池は、競争激化による価格下落などにより落ち込みを見せたとのこと。ただ7月から開始される全量買取制度の後押しもあり、国内市場は「大きな成長が見込まれる」(大西氏)とし、2012年度は売上高16.1%増の2600億円、販売量は30.4%増の1400メガワットと、売上高、販売量ともに増加を見込むという。

 2013年3月期の連結業績見通しは、上期は厳しい状況が続くもの、下期は回復するとしており、売上高は前年同期比9.9%増の2兆7000億円、営業利益は200億円を予測。ただし経常利益、当期純利益に関しては、それぞれ200億円、300億円の赤字になるとしている。また、3月に発表した台湾・鴻海グループとの提携に関しては「実務面で進めている段階で、協業効果を業績に織り込める段階ではない」(大西氏)とコメントした。

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