「NOTTV」は成功するのか--コンテンツ責任者が語る哲学 - (page 2)

オリジナル番組にこだわる理由

 さて、コンテンツ個々に目を移すと、意外なほどにオリジナル番組が多いことに気がつく。CSで実績のある人気コンテンツに頼りすぎることなく、6割程度のオリジナル番組を用意したのは「そうでなければ成功しない」という小牧氏の考えによるものが大きい。

 「調達番組をそろえた方が手堅いことはわかっているが、帯域に限度のある我々のサービスにおいて、数や価格で競争するのは得策ではない。オリジナルのヒット番組を生みだし、それによって加入者を集める以外に成功はない」(小牧氏)。これもまた、CSフジテレビにおいて「ゲームセンターCX」「競馬予想TV」「ば・らす」などの人気オリジナル番組を生みだした小牧氏ならではの哲学だ。

  • 「NOTTV」の視聴イメージ (C)J.LEAGUE PHOTOS

 また、新メディアにおけるオリジナル番組の方向性を知り尽くしていることも強みだろう。国民的アイドルグループ・AKB48の番組起用は一見して不特定多数の幅広い層を狙ったようにも感じさせるが「ある程度、(コアなファン層に)ターゲットを絞った内容」に仕上がっているという。

 「『ファミ通TV』や『声優生電話アニ充』などは明らかに狙っています(笑)。オリジナル番組制作はリスクが高いと言われますが、個々に見ていくと手堅い内容が多い」(小牧氏)。

 調達番組の傾向も同様で、全体として万人が楽しめる番組を集めているというより、人によって楽しめる番組がはっきりした編成を組んでいる印象。総合編成といえば聞こえが良いが、いわば「コンテンツのごった煮状態」に近い。

 これについては「契約者の方に『これだけは見たい』という番組を何本用意できるか、という考え方」と説明する。「地上波ならば、朝テレビをつけてからずっとチャンネルをあわせてもらうことを前提に編成するのが基本。NOTTVにおいて同様の視聴形態をとっていただくのは難しいので、チャンネル単位ではなく番組単位で気に入っていただく必要がある」(小牧氏)。

 一方で、いつ、何を放送しているのかが広く情報として伝わっていない現状に弱さを感じているのも事実のようで「新聞ラテを含め、編成を伝える努力は引き続き行っていく」という。現状は端末上の番組表か自社サイトでしか放送内容を確認することができず、この出口を増やしていくことが今後の普及において大きな鍵を握ることになりそうだ。

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