「NOTTV」は成功するのか--コンテンツ責任者が語る哲学

 「NOTTVとは何か?」を分かりやすく説明するのは難しい。

 NOTTVとは4月に開局したスマートフォン向けマルチメディア放送であり、運営はNTTドコモなどを中心に設立されたmmbi。視聴契約は月額420円の見放題、現状の視聴可能端末はドコモのスマートフォン「AQUOS PHONE SH-06D」とタブレット「MEDIAS TAB N-06D」のみ、と概要を伝えることはできるが、「どんな番組が視聴できるのか」という肝心の部分をざっくりと説明できないためだ。

 そこで今回、mmbiの常務取締役で番組編成やコンテンツ制作・調達の責任者でもある小牧次郎氏に話をうかがい、「NOTTVとは何か」を番組の側面から解説してもらった。

“総合編成”で契約者を獲得

 まずは基本構成について。NOTTVは3チャンネルで運用されているが、うち1つはニュース専門チャンネル「NOTTV NEWS」となる。といっても、これはCS「TBSニュースバード」からの100%調達で、同チャンネルがプロ野球中継(横浜DeNAベイスターズ主催試合)を中継する際にはそのままプロ野球が生中継される。


mmbi 常務取締役の小牧次郎氏

 「NOTTV1」「NOTTV2」はともに総合編成で、ジャンルによる色分けはされていない。たとえば週末にはJリーグ生中継が編成されているが、特にどちらのチャンネルと決まっているわけではなく、時には2チャンネルともJリーグ中継になることもあるそうだ。

 「総合編成にした理由は、それが最も契約者を獲得できるチャンネル形式だと考えているから。またジャンルによるチャンネルの色分けを避けたのは、生中継が重なった場合のやりくりが難しくなるケースがでてくるためです」(小牧氏)。

 この決断について、業界内からは「思い切ったかじ取り」と驚く声が多い。CS多チャンネル放送の成功例と比べるとわかりやすいが、新メディアとして立ち上げた場合、ジャンルを絞って専門チャンネル化したほうが圧倒的に初期加入者を獲得しやすい傾向にある。

 たとえばプロ野球中継を目玉とするなら、最低でも特定チームのホームゲーム全試合中継くらいは用意しておくのが定石(一応、「ニュースバード」によってDeNA主催試合は確保されている)であり、PRもしやすい。

 またアニメならアニメ、映画なら映画とジャンルを絞ることで、一定のファン層を素早く取り込める効果も期待できる。それでもあえて、総合編成という地上波放送の土俵で勝負にいったのは「サービスとして大成功を収めるため」(小牧氏)だ。

 「ジャンルを絞れば、確かに一定の加入目標までの到達点は早い。しかし、そこから先に伸ばしていくには時間がかかりすぎることも事実」(小牧氏)。この一見リスキーな方針に説得力を持たせられるのは、小牧氏自身がCS「フジテレビ ONE TWO NEXT」を総合編成によって大成功へと導いた実績があるためだ。

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