コクヨグループのコクヨファニチャーが、4月26日オープンの複合施設「渋谷ヒカリエ」8階のクリエイティブラウンジ「8/」に、メンバー制オフィス「Creative Lounge MOV(モヴ:MOV)」をオープンする。
MOVは、常に新しい働き方を提案してきたコクヨグループが、クリエイティブな発想でチャレンジをおこなう個人やチームのために提供するメンバー制オフィスだ。
施設は、「街の中の広場」をモチーフにしており、柱にはバスケットゴールがつけられたり、自転車がオブジェとして置いてある。作業スペースとして利用できるベンチはニューヨークのセントラルパークのものと同じだという。
オフィス中央にオープンラウンジが作られるほか、集中して作業する個別ブース、黒板として利用できる壁などを用意するフリーラウンジ、さまざまなニーズに対応したミーティングスペース、スモールオフィスとして利用可能なレジデンスエリアなどで構成されている。
コクヨファニチャー取締役兼執行役員の井田幸男氏は、「コクヨ創業のきっかけは当時まだ少なかった和式帳簿をつくったのがきっかけ。これ以降、文房具事業やオフィス家具や空間など、社会にこれまでなかったものをみなさんとともに作り上げてきたことが事業の根底にある」とコクヨグループ設立の経緯を説明する。
そういった中でコクヨは、「ライブオフィス」というオフィスのあり方を提案し、自らが提供する製品をオフィスに導入し、公開するという試みを進めてきた。また、インターネットの普及や構内PHPの利用などを通して、「マイデスクでの仕事」から、空間や時間を超えて仕事ができる環境作りも進めてきた。組織としても、従来の縦割り型から、部門や部署を超えてコラボレーションを起こしていくという体制を作ることも実践してきた。
また、こうした新しい働き方やオフィス空間のあり方を研究する中で「ECIFFO」などの雑誌を提供し、この動きを世に伝えるべくアクションを起こしてきた。現在発行中の雑誌「WORKSIGHT」にもその考えは継承されている。
コクヨ自身の働き方の変化を踏まえて提供されるのがこのMOVだ。知恵と創造性で新たなものを作り出し、日本らしさや日本の魅力や事業を世界に発信していく。そしてまた、日本にとどまらずだけでなくアジアや世界の人たちとつながっていく――MOVはこんな働き方のためのスペースを目指すという。
「今までにないアイデアを創出、発想し、組織や国境、世代の壁を超えて知識や経験を共有し新しい価値をつくりだしていく。そうした世界を変えていくムーブメントを起こす場と位置づけている」。コクヨファニチャー 首都圏営業本部空間構築タスク課長でMOVプロジェクトリーダーの竹本佳嗣氏は、MOVへの思いについてこう語る。
竹本氏はまた、人々の働き方が工業社会モデルから知識社会モデルへと移行してきたと語る。これにあわせてオフィス環境も分業化や効率化を目指したものから、コラボレーションやコワーキング、シェアなど有機的につながるオフィス環境になってきたというのだ。「それまで分断されていた人やモノが組み合わさり、有機的なコミュニティへと形成していくことで、さらなる場が作られる。MOVはそういった動きを実践する場にしていく。渋谷という“文化創造の街”から新しいクリエイティブを作る」(竹本氏)
これまで交流があまりなかった異業種や異分野の人たちが出会い、アイデアや課題を出し合いながら解決をはかるシェアワークラウンジというコンセプトを実践していく。
スペースの入り口には「aiiima(アイーマ)」と呼ばれる展示スペースも用意する。オープン当初は、「ナカダイ渋谷渋谷市場」が廃棄物から新しいプロダクトへと再生する“素材”の展示や、paperboy&co.のブックレビューサイト「ブクログ」とともに実際の本棚をつくる「ブクログ図書室」の展示などがなされる。
また、定期的にミキシングイベントを開催する予定だ。渋谷という街から新しいチャレンジをしたい個人や企業を支援し、交流するための仕掛けを用意するという。
利用料はオープンラウンジのフルタイム利用で入会金が1万500円、月額が1万5750円。レジデンスエリアのロッカー付きテーブルで入会金1万500円、預託金が5万2500円、月額は5万2500円。ブース席で入会金および預託金は月額の1カ月分、月額がスペースにより10万800円からとなっている。ドロップイン(1日利用)は認めていないが、会員登録すれば、1時間単位での利用も可能だという。コクヨファニチャーでは、2012年度中に会員数を350人以上の獲得を目指すとしている。
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