文具やオフィス家具の提供にとどまらず、新しい働き方の提案までを行うコクヨ。前回は同社が東京・品川に構える実験オフィス「エコライブオフィス品川」や、自社のオフィスに自社製品を導入しショールームにする「ライブオフィス」という取り組みについて紹介した。後編となる今回は、新しい働き方について、雑誌とウェブの双方から発信していく媒体「WORKSIGHT」について聞いた。
コクヨではプロダクトやライブオフィスの取り組みから新しい働き方を提案するのと同時に、国内外の先進的なオフィスや働き方についてのノウハウ、各分野のトップランナーや研究員のオピニオンなどを発信する媒体を作り続けてきた。
1987年に「 ECIFFO (エシーフォ)」を創刊した。ECIFFOは、多様な視点からオフィスのあり方を研究した媒体だ。また、2005年には、より経営者視点からオフィスについて考える情報誌「CATALYZER(カタライザー)」を創刊した。両誌とも年2回の発刊で、業界内外での評価も高かったという。ECIFFO、CATALYZERともに2009年に休刊した。両誌ではオフィスをハード面で取り上げることが多かったが、よりソフト面である働き方に視点を置いたコンテン ツを発信すべく、2011年10月に「WORKSIGHT(ワークサイト)」を創刊した。
「エコライブオフィスでの取り組みと同様に、(新しい働き方について)自分たちのリソースやノウハウだけで考えていては意味がない。ときにアイデアが詰まるからこそ、先進的な取組みを独自に取材し、それらを発信する」――コクヨファニチャー ワークスタイルコンサルタントでWORKSIGHT副編集長の山下正太郎氏は、コクヨがコンテンツを発信する意義についてこう語る。
「これまで製造業が中心だった日本では、『オフィスはひっそりとあるべき、こうあるべき』という考えがあった。そうした既成概念を壊し、オフィスからさまざまな可能性を生み出すきっ かけにしていきたい。国内外の事例をとりあげることで、多種多様なカルチャーを感じてもらい、そこから議論が始まるツールになればいい。社員は、顧客と のコンタクトツールとして実際に活用している」(山下氏)
WORKSIGHTの創刊は2011年10月。第1号では「外とのつながりで発想するオフィス」をテーマに、米Zapposなどを取材した。山下氏は「これまで企業とユーザーという境目がきちんと分かれていた。しかしソーシャルメディアをはじめとして、個人での発信や影響力を持つようになってきて、その境目が分からなくなってきている。企業とステークホルダーとの関係が揺れ動き、あるときはユーザー、あるときはパートナーとなりうる社会だからこそ、企業として、組織としての関わり方を、根底から考える時代になってきた」と狙いを語る。
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