Adobeは2011年、Flash Playerの対象範囲を縮小した。モバイルデバイス向けブラウザプラグインを廃止し、開発リソースを競合するウェブ標準に移したのだ。
しかし、同社はFlashに見切りを付けようとしているわけではない。
Flashプログラマーとのコミュニケーションの修復を図るAdobeは米国時間2012年2月22日、Flash Playerのロードマップを発表し、「Cyril」および「Dolores」という開発コード名が付けられたバージョンなど、2012年にさまざまな改良を施すことを約束した。ロードマップにはさらに、「Flashランタイムが今後5~10年にわたって開発者のニーズに応えられるように、われわれはFlash Playerのコードベースも最新化していくつもりだ」と書かれている。
「ランタイム」とは、Flashの「ActionScript」言語で記述されたプログラムを実行するソフトウェア基盤を指す。Flash Playerはそれらのプログラムをウェブページ上で実行するブラウザプラグインだが、Adobeの「AIR」ソフトウェアに組み込まれたその基盤は、スタンドアロンのプログラムの開発にも対応する。
このランタイムの歴史は長く、Flashはその全盛期には多くを提供した。さまざまなブラウザで動作するFlashは、クロスプラットフォームでのプログラミングの負担を軽減し、プログラマーはブラウザの違いについて心配する必要がなかった。また、ストリーミングビデオやベクタグラフィックス、ウェブカメラ、マイクのサポートなど、ブラウザでは未発達、または未搭載だった機能を普及させた。
ただし現在、そうした核となる市場の中で、AdobeがFlashを熱心に売り込んでいるのはゲームと高品質ビデオの2つの分野だけだ。Adobeが2011年、Flashで行っていた取り組みをHypertext Markup Language(HTML)やCascading Style Sheets(CSS)、およびJavaScriptプログラミングといった競合するウェブ標準に転換したことで、Flashの対象範囲は絞り込まれた。
AdobeはFlashを超えて活動を拡大するにつれて、標準の開発に積極的に関与するようになった。ウェブプログラマーおよびデザイナー向けの「Edge」や「Muse」といった製品を追加し始め、また、社内テクノロジのポートフォリオを増強するためにPhoneGapやTypeKitを買収した。
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