これはAdobeにとって、難しい綱渡りである。Flashが担ってきた領域を同社がほかのプログラミング方法に譲れば譲るほど、Flashプログラマーが得るクロスプラットフォームという恩恵は少なくなる。
「iOS」および「Android」向けモバイルアプリは、AIRでパッケージすることが可能だ。ウェブアプリの機能はFlashアプリやネイティブアプリに及ばないことが多い。しかし、Flashは既に多くの開発者が歓迎する期間を超えて長居している。そして、将来的な取り組み範囲の縮小によって、プログラマーのFlash離れが加速する可能性は十分にある。
ロードマップによると、Adobeは現在、Flashとウェブ標準のバランスについて次のように考えているという。
HTML5やCSS3、JavaScriptなどの最新のウェブテクノロジを使って、ブラウザ経由でリッチなモーショングラフィックスを直接展開することが増えるだろう。ウェブ上でのFlash Playerの主要な役割は以前と同じだが、その使用目的は変化するだろう。
Flashランタイムは主に2つの使用例に対して、比類のない適性を有しているとAdobeは考える。それは、家庭用ゲーム機品質のグラフィックスを備えるリッチで表現力に優れたゲームの開発および展開と、高品質ビデオの提供だ。
Flashに対する今後の投資の大半には、EcmaScript標準に基づくプログラミング言語であるActionScriptの全面的な見直しが伴う。EcmaScript標準は、ウェブのJavaScriptの基盤としても使用されている。
ActionScriptの次期版の大きな変更の数々は、ActionScriptが変数を処理する方法に影響を与える。具体的には、変数が整数なのか、浮動小数点数なのか、あるいはそれ以外の特定のデータ型なのかをプログラマーに宣言することを求める、より形式的な「型」への移行だ。型付きの変数はプログラマーにとって煩わしさが増すが、より高速なソフトウェアを作り出すためのプログラミングツールを可能にする。
Adobeがこれをどこまで推し進めるのかは不明だ。同社が厳格な型の要件と型推論の長短を天秤にかけている様子であることを考えれば、特にそうだ。型推論の場合、Flashは最適な推定を行い、それに基づいてソフトウェアを最適化する作業を担うことになる。いずれにせよ、これはプログラマーにとって大きな変更になる可能性を秘めている。ただし、Adobeは、これが過去のActionScriptの変更のような混乱をもたらすことはないと約束している。
また、Adobeはロードマップの中で、「Netscape Plug-in Application Programming Interface(NPAPI)」メカニズムを使用するLinux版Flash Playerの開発を終了することも発表した。Googleが開発したPepper APIを使用するLinux版「Google Chrome」では、Flashは今後も使用できる。
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