ソーシャルメディアがもたらしたものは、単に多様なコミュニケーション方法だけではない。ソーシャルメディアによって、新しい学びの形が生まれた。それは、「三人寄れば文殊の知恵」どころか、もっと大勢の知恵を互いに結びつけ、人ひとりが持てる知恵の量をはるかに超える知恵を生み出す媒介となったのだ。「『ソーシャルラーニング』入門」(出版:日経BP)では、ソーシャルメディアを利用した学びによって起こることを、豊富な事例を元に検証している。
ソーシャルメディアを利用して学ぶことをソーシャルラーニングという。ソーシャルラーニングによって、学び方そのものに変化が起きている。Twitterで一言疑問を投げかけるだけで、何人もの人から答えが返ってくるという経験は、Twitterを使っている人なら経験があるだろう。そのような個人の学びの経験が、会社や組織というもっと大きな枠組みの中でも活かされると、業務の効率化や改善、改革につながるようなのだ。
そうは言っても、組織内でソーシャルメディアを使うことに抵抗を感じる経営陣は少なくない。だが本書を読むと、セキュリティ面での不安のみからソーシャルメディアを使わないのでは、機密漏えいのリスクよりも、この社会的な流れに乗り遅れ組織を硬直化させてしまうリスクの方がはるかに高いように思える。
セキュリティ面の対策として、付録にガイドラインの紹介もあるので、インテルやIBMといった名だたる企業のソーシャルラーニングの事例と共に参考になるだろう。組織および組織に属する個人の活性化に興味があるならば、読んでおくべき一冊だ。
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