Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は米国時間2月14日、ステージに登場したが、それは新しいタブレットを発表するためではなかった。
Cook氏が姿を現したのは、Goldman Sachsがサンフランシスコで開催の年次イベントTechnology and Internet Conferenceでの基調インタビューで、こうした形で公の場に登場するのはかなり珍しい。このインタビューでCook氏は、労働者の安全性をはじめとする、あらゆるテーマについて議論した。
Goldman SachsのアナリストBill Shope氏が司会を務めたインタビューの冒頭で、Cook氏はサプライヤーやメーカーにおける労働環境を改善するための同社の取り組みを詳しく説明した。同社がこの問題についてこのような公式の場でコメントするのは、13日に中国にあるFoxconnの工場を直ちに監査するよう求めたことを発表してから初めてだ。
「われわれの業界に、Appleよりも積極的に労働環境改善に取り組んでいる企業は存在しない」とCook氏は述べた。また、同氏は個人的にも「多くの時間」を工場で過ごしてきたとして、アラバマ州の製紙工場や、ヴァージニア州のアルミニウム工場での仕事について触れている。
「わたしはこのサプライチェーンが複雑であることを理解しているし、皆さんがこのことを理解しているのも分かっている。サプライチェーンを取り巻く問題は複雑だが、われわれの取り組みは非常にシンプルだ。あらゆる労働者は、十分な賃金が得られて不満を率直に訴えることのできる、差別のない、公正で安全な労働環境の中で働く権利があると、われわれは考えている」(Cook氏)
このカンファレンスではCook氏のほかに、Texas InstrumentsのCEOのRich Templeton氏、QualcommのCEOのPaul Jacobs氏、BroadcomのCEOのScott McGregor氏などが講演した。
以下では、質疑応答の内容をトピックごとにまとめた。
製造パートナー:Cook氏は、公正で安全な労働環境の実現に向けた取り組みを約束する一方で、Appleと取引を行うためには、サプライヤーは同社の決めた条件を満たす必要があるとした。
Cook氏はまた、教育こそが「平等をもたらす偉大な手段」であり、Appleはサプライチェーンの中の「多くの」場所で、無料の講義を開催しているほか、地元の大学と協力して、英語と起業家精神についての講義を実施していると述べた。こうした講義には約6万人の労働者が参加しており、この人数はアリゾナ州立大学の学生数を上回るという。
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