パナソニック、通期純損失は7800億円で過去最大に

 パナソニックは2月3日、2012年3月期第3四半期(4~12月)の連結業績を発表した。タイの洪水の影響や円高の継続などを受け、売上高は前年同期比10%減の5兆9654億円で、営業利益は同85%減の395億円、当期純損失は3338億円となった。通期業績見通しでは、純損失が前回発表の4200億円から7800億円へと大幅に拡大する。7800億円の損失は同社として過去最大になる。

 これを受け代表取締役社長の大坪文雄氏は、低迷の続くテレビ、半導体事業の黒字化を含む収益力強化への取り組みを発表。「最終純損失7800億円という巨額の赤字を計上することにより、責任の重さを痛感している。収益構造の変革を目指し2012年度には何としても業績のV字回復を目指す」とした。

 収益構造変革の方向性として打ち出したのは

  • テレビ、半導体関連の黒字化
  • 個別事業の成長による増益
  • まるごとソリューションで「3度稼ぐ」

の3つ。厳しい市況が続くテレビ、半導体事業において、構造改革を推進し、新たな用途提案をするほか、安定的な収益基盤である海外向け白物家電の増販、コンビニ、ホテルなどBtoB向けに取り組む「まるごとソリューション」の具体化などに取り組む。


代表取締役社長の大坪文雄氏

 テレビ事業に関しては、2011年10月に発表 した事業戦略が予定通り進んでいると報告。パネルの製造拠点集約や人員体制のスリム化は実施済みだ。

 収益改善のポイントとして液晶パネルの非テレビ用への転換を据える。「IPSαならではの省エネ性能と広視野角を武器にモバイル用、医療用への提供を強化している。すでにタブレット端末や医療用モニタでの採用を決定してもらっており、この割合を5割超まで高めたい」と話す。また年初の「2012 Interenational CES」で発表した20型4K2KのIPSαパネルに関しては「2012年第4四半期から販売を開始する予定。医療用などの市場開拓の武器にする」とした。

 一方、海外市場において2ケタ成長を続けているという白物家電は、環境コア技術「エコナビ」の世界展開や現地密着型の商品企画を強化することでさらなる増販に取り組む。

 韓国勢の後を追う形で参入したインド市場を例に上げ「2009年度に参入しこの2年間で韓国勢と同等の売上増を実現している。キャッチアップも夢ではない」と自信を見せる。今後は電力が限られた量しか供給されない新興国に向け重要なファクターである省エネ性能を打ち出すほか、韓国勢にはない美容健康商品を全地域で強化するなどの施策を発表した。

 三洋電機の買収によって手に入れた電池事業は、「海外メーカーの参入で競争が激化する中、明確な特長を持つ『HIT』を武器に、パナソニックの販売力をフルに発揮することで前年の1.5倍にあたる売上を達成する見通し。今後は小さなスペースにも設置できるHIT小割タイプをラインアップに加えることで、住宅メーカーへ積極提案する」と展開を話す。

 車載用リチウムイオン電池については「すでにニッケル水素で高い信頼性が得られているので、リチウムイオン電池についても信頼性を獲得している」とし、新ライン、新工場も検討しているとした。

 今回の巨額損失の大きな要因の一つとされるテレビ事業については「競合する韓国メーカーの技術力、デザイン性など学ばなければならないことはある。しかし外部要因として円高ウォン安は大きい」と外的要因が大きく作用したと話した。続けて「すべて自前主義で、液晶、プラズマに大きな投資をしたのは、テレビが収益を確保していた2006~2007年の頃。その後リーマンショックが起こり、大きなダメージを受けた。キーデバイスであっても自前主義をどの程度に留めるのか慎重に考えなければならない」と、液晶、プラズマの薄型テレビ事業を振り返った。

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