シャープは、2012年3月期の第3四半期(10~12月)決算を発表した。国内液晶テレビの収益悪化、太陽電池の売上低迷などを受け、売上高は前年同期比12.6%減の5890億円、営業利益は244億円の赤字となった。黒字を維持してきた液晶テレビ事業も、今期は赤字へと転落する。
第1四半期からの累計(4~12月)では、売上高は前年同期比18.3%減の1兆9036億円、営業利益は同86.3%減の91億円、当期純利益は2135億円の大幅赤字となる。
代表取締役社長の片山幹雄氏は「国内液晶テレビの想定を上回る急激な悪化、国内携帯電話の販売台数減、太陽電池の売上低迷が主な要因」と売上高、営業利益ともに落とした理由を語った。
主力事業である液晶テレビ、液晶パネル事業に関しては「非常に厳しい決算となった原因」とし、第3四半期に続き第4四半期(1~3月期)においても赤字になる見込みとしている。
「液晶テレビ事業は2010年のエコポイント制度変更前に相当な需要を記録した。その反動で2011年のテレビ市場は前年の60~70%程度になるとの見方もあったが、実際は10~12月期の国内市場は、台数ベースで前年の30%台、金額ベースでは20%程度と大幅にダウンした」と現状を話す。
シャープでは市場の落ち込みを想定し、2011年6月に液晶製造をモバイルと大型にシフトする構造改革を発表。「(今回のような)決算をしなくてもいいように、戦略を打ち出したが、国内が想定以上に落ち込み間に合わなかった」という。さらに中国市場においても日本国内のような需要の鈍化が見られ、厳しい状況は続くとしており「従来の構造改革の方向は変わらないが、加速して行う必要がある認識している」とスピードアップすることを強調した。
同様に落ち込んだ液晶パネルに関しては「世界的に見るとビジネスが成り立たなくなってきている。外販を止める意志はないが、需要がないと認識している。これを挽回するのは中小型サイズと、60型以上の大型サイズの伸び」とし、大阪・堺工場での稼働調整と高開口率化、低消費電力化を実現するIGZOラインへの転換を検討していることも明らかにした。
一方国内での単価ダウンと海外での売上減で、今期の営業利益が62億円の赤字となった太陽電池に関しては「地産地消」を強く推進する。「海外需要は収益がマイナスなので、現地生産することで競争力を打ち出していきたい。メガソーラーの発電事業、7月からスタートする国内での再生エネルギー買取制度などで、少しずつよくなっていくだろう考えている」と施策を話した。
今回の業績を受け、シャープでは2012年3月期の連結業績予想を、売上高は2兆5500億円、営業利益をゼロ、経常利益を300億円の赤字、当期純利益を2900億円の赤字と大幅に下方修正した。
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