パナソニックは10月31日、代表取締役社長である大坪文雄氏が薄型テレビの生産体制を含む事業構造改革やソリューション事業に重点をおいた新グループ体制など、新事業戦略を発表した。大幅に悪化した業績を受けたためだ。薄型テレビや半導体といった収益が改善しない事業の抜本的な改革に乗り出す。
2008年から厳しい状況が続く薄型テレビは、パネルの生産拠点を液晶は国内1拠点、プラズマは世界1拠点へと集約する。ともにテレビ用に加えデジタルサイネージや車載モニタ、医療用といった非テレビ用パネルの生産も手がけるよう転換を図るとのこと。
液晶パネルはOEM、ODMを活用し、自社パネルの使用比率を引き下げるほか、40型以上の大型モデルを3割以上へとアップさせる。プラズマパネルはデジタルサイネージなどのシステム用途を開拓する50型以上の比率を6割へと引き上げる。これにより営業赤字を解消し、収益を大幅に改善させるとした。
半導体事業では、システムLSIを生産委託へ切り替え、デジタルカメラ用センサなどの事業へとリソースをシフトさせていく。省電力を実現するガリウムナイトライド(GaN)の開発体制は4倍へ拡大するとしている。
このほか三洋電機の重複事業である白物家電、モータ事業を譲渡し、すでに1万人以上が他社へ転籍しているとのこと。人員体制のスリム化は前倒しで推進しているという。
大坪氏は「再編に向けた構造改革は積み残すことなくやり切る。これにかかる構造改革費用は5140億円で、来年度の収益改善効果は1460億円になる見通し。グループの人員は1年前倒しでスリム化が進み35万人以下の体制になる」と効果を話した。
新体制はBtoCのコンシューマ事業、BtoBのデバイス事業、ソリューション事業の3つの枠組みで取り組む。ソリューション事業では「まるごとソリューションズ本部」を設置し、「お客様への価値提供で『3度稼ぐ』ビジネスモデルを目指す」とのこと。これは、一つ一つの強い商品を持ち、それらを連携させ、さらにメンテナンスや関連サービスを提供するという3つのフェーズで展開するというもの。これらの事業を100本創出することを目標に据えており、すでに約30本は具体化されつつあるとしている。
このほか、インド、ブラジルでの大増販プロジェクトを含む新興国戦略、2012年度に国内トップを目指すソーラー事業、グローバルシェアNo.1の早期奪還に向かう民生用リチウムイオン電池、などを重点施策として取り組んでいく構えだ。
大きく方向転換を図ったテレビ事業については「従来までパナソニックグループで最大規模の商品であり、ブランドを象徴する存在だった。その位置づけが急激に変わるわけではなく、引き続き重要な商品。ただ収益を上げることが出来なかったのは最大の課題であると認識している。この状況から脱却するために構造改革を推進する。2012年度の黒字化を目指す」とした。
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