「webOS」のオープンソース化--HPの決定と専門家の悲観論 - (page 2)

Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年12月14日 07時30分

 もちろん、webOSがほかのデバイス向けのニッチなOSとして復活する可能性はある。この数年間、同OSは相当数のテクノロジマニアや記者、さらには一部の開発者の支持も得てきた。大胆な開発者なら、同OSの新たな活用法、例えば冷蔵庫やスマートグリッドのOSとして使うことなどを思いつくかもしれない。

 しかし、アナリストらはその可能性すら極めて低いとしている。

 HPも同じ考えのはずだ。同社はwebOS事業の撤退のために33億ドルを償却した。おそらくこのことが、webOSの価値に対する同社の考え方を何よりも如実に示しているのだろう。

webOSを野に放つ

 HPはwebOSをオープンソースのプラットフォームにすることで、多少の信用を得られると期待しているようだ。同社が売り上げや利益を求めていないことを願う。ほかの同種のプラットフォームを見てみると、状況はさまざまだが、成功の規模は限定的だ。

 OracleのJavaやMozillaの「Firefox」、さらにはGoogleの「Android」など、大きな成功を収めたオープンソースプロジェクトには必ず資金力が豊富なサポーターの存在があった。おそらくHPはそうしたサポートを提供しないだろう。

 「HPはwebOSで利益を上げたいとは考えていないと思う」(Entner氏)

 Linuxは本当の意味で独立している唯一のプラットフォームであり、最初からオープンソースプロジェクトだった。Linuxを支持する強力なユーザーベースは存在するものの、Linuxの普及はPCの競合OSと比べると限定的だ。ただし、AndroidはLinuxをベースとしている。

 一方、webOSはオープンな場所に捨てられようとしている。多くのテクノロジ専門家はこのことを、同プラットフォームが朽ち果てる前に蘇生しようとする最後の試みと見なしている。

 もしかすると、Nokiaの「Symbian」と比較した方がいいかもしれない。Symbianは当初、Nokia向けのプロプライエタリなOSとして誕生したが、その後、より多くのベンダーサポートを得るために独立したオープンソースプラットフォームとしてリリースされた。NokiaはSymbianがオープン化されたすぐ後に同OSから手を引いた。同社がMicrosoftの「Windows Phone」に注力していくにしたがって、Symbianはローエンドデバイス向けOSに格下げされている。

 Appleの「iOS」やAndroidに対抗することができなかったSymbianは、衰退していく運命にある。Symbianと違ってスポットライトを浴びることさえなかったwebOSも、同じ運命をたどるはずだ。

 「残念なことだ。優れたテクノロジがいつも勝つとは限らない」(Lopez氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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