まずSaaS(Software as a Service)を具現化したものが、約3カ月前に正式サービスを開始したばかりの「Office 365」となる。「Exchange Server」「SharePoint Server」といったメッセージングとコラボレーションのためのサーバ製品群の機能に加え、デスクトップアプリケーションである「Office」のサブスクリプション提供もクラウドから行う同サービスについて、樋口氏は「極めて強力なクラウドサービス。これらの製品をオフィスに設置するのと全く変わらない状態でサービスを利用できる点が、ユーザーから高く評価されている」と強調した。
一方、PaaS(Platform as a Service)を具現化したものが、「Windows Azure」である。Windows ServerやSQL Serverなどの機能をサービスとしてクラウドから提供するWindows Azureでは、ユーザー側でのメンテナンスがフリーであることに加え、これまでオンプレミスで構築してきた資産とスキルの再利用が可能な点、存続するオンプレミスシステムとの連携や相互運用が容易な点が他社プラットフォームと比較した際のメリットになる。
もちろん、新規事業立ち上げ期間の短縮や、初期コスト、運用コストの低減といったクラウド共通のメリットも享受できる。基調講演では、Azureの採用事例として、文部科学省による都道府県別環境放射能水準調査結果公開サイトが紹介された。同サイトでは、全国の放射線モニタリング情報をグラフ化したデータで公開しているが、その構築はわずか1日で行われたという。さらに、震災以後、全世界からのアクセスが集中した際にも、クラウドの利点である柔軟なリソース拡張によって、情報提供を継続できたとしている。
また、Windows Azure Applianceを基盤とした富士通のパブリッククラウドサービス「Fujitsu Global Cloud Platform(FGCP)/A5」が8月1日よりサービスインしたことにも触れ、WindowsをベースとするPaaSの選択肢が、さらに広がりつつあることを示した。
IaaS(Infrastructure as a Service)のレイヤについては、同社業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部本部長の梅田成二氏が説明。梅田氏は「クラウドのテクノロジで重要なのは“仮想化”と“管理の自動化”である」とし、それぞれに対応する技術を紹介した。
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