今回の基調講演では、このWindows Phoneがフロントエンドを受け持つデバイスの要として大きくフィーチャーされた。同社業務執行役員コミュニケーションズパートナー統括本部長兼コミュニケーションズインダストリー統括本部長の横井伸好氏は、KDDIから約1カ月前にリリースされたWindows Phone 7.5搭載端末「IS12T」を携えて登壇。「発売直後から多くの好意的な意見をいただいている。日本マイクロソフトでは、既に全社員への展開を完了した」と、その出来映えに自信を見せた。
横井氏によれば、Windows Phone 7の開発にあたって、マイクロソフトでは「そもそもスマートフォンとは何のためのツールなのか」を再考したという。そこでの結論は、「人を中心としたコミュニケーションツール」であるというものだ。従来のスマートフォンでは、メールや各社のソーシャルサービスといった複数のコミュニケーションサービスを使い分けるために、それぞれ別のアプリケーションを利用するケースが多かった。Windows Phone 7では、アドレス帳を含めた各コミュニケーションツールの統合を進め、ある人物を中心に、コンタクトのしやすさ、コンタクト履歴を含む情報管理のしやすさを高めているという。
また、なめらかな操作感と素早い画面処理の実現にも注力したという。クラウドサービスへのアクセス時にも「クラウド上のデータであることを意識させない、最強のクラウド端末」(横井氏)であるとした。
Windows Phone 7.5の導入事例の1社として紹介されたのは、カブドットコム証券である。同社では、Windows Phone端末の全社導入に加え、Windows Phone向けの株価情報アプリケーションを開発し、12月より展開の予定という。横井氏は「Windows PhoneとWindows Azureとを組み合わせることで、極めて短期間で高機能な株価情報サービスの構築に成功している」とする。
また、前日の27日に発表された大塚商会との協業による「Office 365スマートフォン活用ソリューション」についても紹介した。これは、KDDIのWindows Phone端末とOffice 365を組み合わせ、大塚商会が法人ユーザー向けにワンストップでのモバイルコミュニケーション環境構築支援とサポートを提供するもの。クラウドサービスとWindows Phoneによる企業向けソリューションが、本格的に始動したことを印象づけた。
フロントエンドでの目玉がWindows Phoneならば、そのバックエンドを支えるのは同社のクラウド製品群だ。樋口氏は、東日本大震災以降、同社のサーバ製品のライセンスにおいて、特にデータセンター向けの販売が大きく増加している点を指摘し、「クラウドへのシフトが急速に進んでいるとの印象を持っている」とした。
また、同社の調査に基づくレポートとして、企業情報システムにおける従来型のシステムとクラウド型のシステムの割合が2015年に逆転するという予測が披露された。
この調査によると、クラウドへの移行は不可避で、その勢いは今後さらに強まっていくとの見方を示し、その導入と既存環境からの移行をサポートする製品群について、クラウドのそれぞれのレイヤごとに説明を行った。
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