ウェブ標準が発展を遂げるなかで、Adobeは3つの分野に対するFlashの売り込みにさらに力を入れている。その分野とはゲーム、高度なオンライン動画、そしてインターネット上の別の場所にあるデータベースに保存された情報に積極的に対応するデータ駆動型アプリケーションだ。
「ここ1、2年、FlashとHTMLについて、そして適切なプラットフォームとは何かということについて、さまざまな議論があった。われわれは、そうした議論の中心でありながらも、地に足をつけているよう努力してきた。われわれの顧客は、いまやこれら3分野では、Flashを使うことが重要なメリットであることを理解している。われわれは、そうした分野に投資を続けつつ、同時にHTML5を前進させる上での指導的役割も担っている。HTML5は素晴らしいプラットフォームになる可能性があるからだ」(Winokur氏)
Adobeについての大きな疑問は、同社が後れをとることなく、新しいウェブ標準の時代から利益を得られるかどうかだ。新たな挑戦者も現れている。おそらく、そのなかで最も目立つ存在がMicrosoftだ。同社の「Windows 8」の「Metro」インターフェースでは、ウェブアプリケーションの実行が可能だ。また同社の開発者ツールは評価が高い。Flashとウェブ標準が長期的に共存するには、Adobeはその2つのバランスを取る必要があるだろう。
WebGLを例に取ろう。これはハードウェアアクセラレーションに対応したブラウザ用3Dインターフェースで、すでに公開されているが、一般的にはまだ新しいとされている。MicrosoftはWebGLをサポートしていないが、ほかのブラウザメーカーはサポートしている。プログラマーはWebGLとFlashのMolehill(正式には「Stage 3D」と呼ばれている)のどちらを使用するか決めなければならない。そしてAdobeは、開発者の求めるものを受け入れなければ、開発者を競合企業に奪われる立場にある。
Adobeは、ZyngaやElectronic Arts(EA)といった知名度の高いゲーム企業から、Flash 11に対する重要な支持を勝ち取っている。ただし、この2社がFlashだけに集中すると考えるべきではない。EA Interactiveの最高技術責任者(CTO)を務めるMark Vange氏は声明で、「Flashがどこにでもあることは、EAの人気ランキング上位のゲームをより幅広いプラットフォームに提供し、さまざまなデバイスにわたる消費者とつながりを持つのに役に立つ」と述べている。
Stage 3Dは低レベルインターフェースだが、プログラマーは「Alternativa3D」「Mixamo」「Away3D」のような、多くのプログラム上の困難に対処するより高レベルのツールを使うこともできる。Adobe独自の選択肢である「Proscenium」が「近々公開」とされているほか、同社は「Starling」という2Dアニメーションツールキットを発表したところだ。どちらもオープンソースソフトウェアプロジェクトである。
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