「Flash Player 10」は2008年にリリースされた。当時は、ストリーミング動画やオンラインゲーム、インタラクティブな株価チャート、ウェブカムを使ったチャットなど、数多くの先端的なウェブサービスを扱う方法としてFlashは欠かせない存在であり、楽観的で前時代的なスケジュールで動いていた。しかしHTML5やCSS3、そしてより高速なJavaScriptといったウェブ標準に火がつくと、ブラウザメーカーがさらにその炎をあおった。Adobeは、初めてスマートフォンをサポートした2010年のFlash Player 10.1からペースを上げ、さらに2011年に10.2と10.3を発表して、その勢いについて行こうとしている。
同時にAdobeは、ウェブサイトやウェブアプリケーションを開発するための新しいツールとあわせて、ウェブ標準を十分に活用しようと懸命に努力し始めている。新しいウェブ時代のための開発者ツールは、ウェブ標準自体と同じくらい未完成なことが多いため、Adobeは自社のソフトウェアで、開発者やデザイナーが感じるプログラミングの苦痛を軽減しようとしている。そうした新しい取り組みに含まれるのが、「Edge」や「Muse」「Wallaby」だ。
Maxカンファレンスでそうしたプロジェクトのいくつかの新バージョンを目にしても、驚いてはいけない。Adobeは、高機能なインタラクションとタイムラインに基づくアニメーションをウェブサイトに追加できるツールとしてEdgeを公開するなかで、頻繁なアップデートを約束している。それは、プログラマーではなく、デザイナーを意識したものだ。
しかし、「Flash Professional」「Flash Builder」「Flash Catalyst」「Flash Media Server」「Flex」といった製品によるAdobeのビジネスのこととなると、Flashこそが今目の前にあるものだ。Flashをよく知っているプログラマーも数多くいる。そのため、同社がFlashを最前線に置き続けようと懸命に努力しているのは自然なことだ。
AppleやMicrosoftがFlashに抱いている嫌悪感は、Adobeのブラウザプラグインに対する、存在にかかわる脅威と言っても大げさではないだろう。AppleはFlashプラグインを「iPhone」と「iPad」から除外しているし、Microsoftは「Windows 8」の次世代インターフェースである「Metro」版の「Internet Explorer 10」では、プラグインを1つもサポートしないとしている。
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