これに比べ、Appleの場合、多くの部品サプライヤーを抱えていても、ボスは1社であることは明らかだ。Appleはある種の複雑性を抱えており、その一例がIntelチップを搭載したMac上で動作する「Mac OS X」とモバイル端末上で動作するiOSという分離だ。しかし全体的には、同社の緊密に統合された製品群はプログラマーと顧客が行う選択を単純化している。つまり、彼らはハードウェアキーボード付きのiPhoneや、より安価な「Mac Pro Lite」などという製品を購入することはない。だがこれは、Best Buyに並ぶ30種類のラップトップコンピュータ、あるいはCarphone Warehouseに並ぶ20種類のAndroid搭載携帯電話機と向かい合う必要がないことも意味している。
理想としては、顧客は最新の電子機器にどんなチップが搭載されているか気にする必要はないのが望ましい。だが実際には、それは1つの評価要素となるだろう。例を挙げると、WindowsのレガシーアプリケーションはARMでは動作しないだろうし、低消費電力というARMの長所が処理能力にどれほど影響するかはいまだ明らかではない。
だが、複雑性は悪いことばかりではない。市場が活発な競争状態にあり、顧客が進んで路線変更をしようとするならば、既存企業は自社事業のテコ入れのために、自己満足的に勢いに任せるのではなく、誠実に製品改善を行わなければならない(少なくとも、既存企業が特許侵害訴訟で新興企業をたたき潰すまでは)。
もちろん、パートナーシップが開放的になってもWintel同盟は生き続けている。MicrosoftがARMに本腰を入れたとしても、IntelがAndroidに本気になったとしても、巨大な業界は伝統的なPCに力を注ぎ続け、多くの人々がそれらを購入し使い続けるだろう。IntelがUSB 3.0を現実化させたいときは、Microsoftに助けを求める。Microsoftがバーチャル化やマルチメディアのためのチップ機能を欲するときは、Intelに相談する。そしてロジスティクス的な観点で言えば、そこにはPCを作るための協力のノウハウを理解した、成熟したパートナーネットワークがある。
つまり、新たな市場成長の多くはタブレット端末やスマートフォン関連であるかもしれないが、Wintelが分離に向かっていると考えるのは間違いであろう。だが、IntelとMicrosoftが新たな市場への進出という試みに成功すれば、WintelはWARMやAndrintelに席を譲る必要があるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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