孫泰蔵氏率いるMOVIDA JAPANの動きが目まぐるしい。8月9日のシードアクセラレーションプログラムの発表から1カ月後には、海外スタートアップのアジア展開を行う学生向けプログラム「グローバルスタートアップイニシアチブ(GSI)」を発表しているが、9月15日にはサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)と共同で新たな起業家育成プログラム「Start Me Up!」を発表している。
孫氏の一連の動きから見えてくるのは“アジア版スタートアップ・エコシステム”を構築するという思いだ。Start Me Up!はすでに発表されているGSIの社会人バージョンと言えるもので、個人、起業している法人などから幅広く人材を募り、書類選考を実施。面接を経て採用された人物は、NDA締結後に海外の有力なスタートアップ企業のリストの中からどの企業の日本法人を立ち上げるか選定をする。事業プランを策定して対象となるスタートアップへのプレゼンテーション、交渉を経て実際に法人立ち上げをおこなう。ポイントはGSIと同じく「短期間」かつ「仕事」としてプログラムが提供されるという点だ。
事業会社については、ジョイントベンチャーなどの形式をとってプログラムを提供するとのことだが、話を聞いている限りでは、策定する事業内容や海外スタートアップとの交渉などによって変動する印象だった。プログラムに採用された人材はこの事業法人となんらかの契約を結んで参加することになるのだが、その内容も、たとえば法人であれば業務委託契約、個人であれば雇用契約、またストックオプションの付加など、状況に応じて幅を持たせたものとなっている。
気になる「海外スタートアップ」の正体は伏せられたが、無名すぎると展開の意味が薄く、大きすぎると交渉が難しくなることから、ある程度絞られるのではないだろうか。またこのスタートアップと交渉したいという場合は「直接自分が知っていなくても、知人を通せばほぼ何らかの形でつながることができるので、交渉に持っていくことも可能」(孫泰蔵氏)だそうだ。
Foursquareのチェックイン上位に渋谷が出てきたり、Turntable.fmが日本で爆発して権利関係の問題から利用できなくなるなど、言語の壁を越えて自然とアジアで人気に火がつくサービスが登場する機会は増えつつある。海外スタートアップとしては、そんな好機を逃す手はない。
アジア進出に興味を持つ彼らとの提携を通じ、起業経験を積ませる場を作り出すというスキームは、孫泰蔵氏のこれまでの立ち上げ経験から生み出されたもの。プロジェクトを推進するMOVIDA JAPANは主に海外スタートアップとのディールを、CAVは資金や人材の募集などで役割を分担するという。
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