昔々、図書館という建物があった。将来、自分の子供にそんな話をするようになるかもしれない。そして、次のように説明するだろう。市や町の住民はそこを訪れて、書籍を借りることができたのだ、しかも無料で!と。
もちろん、図書館が今すぐ歴史のかなたへ消えていくという可能性は低い。ただし、電子書籍の利用に関する年間のサブスクリプション(定期購読)プランの提供を協議しているというAmazonの話を聞くと、それが現実になってもおかしくない気がする。この計画については、The Wall Street Journal(WSJ)が米国時間9月11日に報じた。
米CNETの姉妹サイトである米ZDNetのLarry Dignan記者はAmazonのデジタル図書館について、徐々に広がりをみせているサブスクリプションプラン「Amazon Prime」の一環として提供されると予測している。
筆者が見るかぎり、Amazonにとって今回の動きは完全に理にかなったものだ。二度と読み返すことがないだろう電子書籍を購入するよりも、読み放題のプランを通してレンタルする方がいいと考える人は、おそらくたくさんいると思われる。また、電子書籍は中古販売が禁じられており、たとえ他人に貸すことが認められていたとしても、制約が多い。そのため、読み終えた書籍の価値は劇的に下がる。
しかし当然のごとく、この議論の当事者はAmazonだけではない。そのようなサービスの場合、出版社も非常に重要な部分を占めている。そして、ここから話がややこしくなる。業界における変化が最終的にどう落ち着くかについて、筆者は次のように考えている(米CNETはAmazonにコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった)。
デジタルテクノロジは紙やCD、DVD、テレビ、映画館などで情報をやり取りする従来の方法を劇的に変えており、その傾向はますます強くなってきている。これには3つの理由がある。
まず、基礎的な情報をデジタル形式でエンコードすることが可能になった。第2に、デジタルデータはわずかな手間でコピーできる。第3に、それらのコピーはインターネットを介して、わずかな手間で世界中に配信できる。
もちろん、それはデジタル革命を支えるただの仕組みにすぎない。業界が一夜にして変革することがないのは、高いレベルの複数の要素があるからだ。例えば、ユーザーよる支払いを基にしたメディアのデジタル配信ビジネスは、どうすれば構築できるのだろうか。自由なコピー行為を抑制するために、データにデジタル著作権管理(DRM)暗号化を施すべきなのだろうか。実際の製品を作り出すコンテンツクリエーターを発見して養成し、コンテンツの編集や対価の支払いを行うのは誰になるのか。
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