うわさされるアマゾンの「デジタル図書館」--書籍業界にもたらす変化 - (page 4)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年09月15日 07時45分

 その取り組みがどれほどうまく行くのかは分からない。出版業界のある人物によると、Bookishは名前が出た3社以外の出版社も受け入れられるようにできているという。これはクリティカルマスを超える上で重要なことだ。

出版社3社によるBookishは、書籍を見つけ購入するためのオンラインハブを提供する。出版社3社によるBookishは、書籍を見つけ購入するためのオンラインハブを提供する。
提供:screenshot by Stephen Shankland/CNET

 出版社がAmazonにこれ以上の力を与えることに乗り気でないのは間違いない。Amazonはすでにトップのオンライン書籍販売業者だ。しかし、Amazonはお金を払ってくれるユーザーをすでに大勢抱えている企業でもあり、そうしたユーザーがAmazonを訪れる目的は、書籍だけにとどまらない。BookishがAmazonに追いつくためにやらなければならないことは山のようにある。電子書籍の未来を構築していくのなら、Amazonと敵対するよりも手を組んだ方がいいのではないだろうか。

 この考えが筆者を図書館の話へと引き戻す。

デジタル図書館

 今から数十年前、流通している書籍を図書館が数冊購入し、無料で貸し出すのは珍しいことではなかった。図書館から書籍を借りた人の多くは、もともとそれを自分で購入するつもりはなかった可能性が高い。おそらく、古本市場の方が書籍の表示価格の価値を下げていた。

 デジタルコンテンツに関して言えば、筆者は一部の図書館が電子書籍によって電子時代へと移行するのを目撃した(音楽や映画、テレビのストリーミングについてのオプションを見たことはないが)。しかし、図書館の電子書籍は厄介な問題を引き起こす。図書館は特定の地域にサービスを提供する傾向にあるが、電子書籍はグローバルなインターネットからダウンロードされる。一般的に、図書館のサービスを利用するにはその地域の図書館カードが必要だが、本質的にローカルな性質を持つ電子書籍は比較的少ない。

 図書館は団結して、統一された電子書籍サービスを提供すべきなのかもしれない。それが実現すれば、テクノロジは簡素化されるだろう。また、規模が大きくなることで、広範な電子書籍の権利の取得も楽になるだろう。ただ、運用コストがかさむ可能性がある。電子書籍の権利取得に関して言えば、特にそうだろう。そのため、例えばDVDの貸し出しで一部の図書館が実施しているように、図書館は料金を徴収したいと考えるかもしれない。

 有料で電子書籍を貸し出す大規模なサービス。Amazonがやろうとしていると言われているサービスと非常に似通っている気がする。

 図書館の重要性が今後どれほど維持されるのか筆者には分からないが、インターネットが地域の資産としての図書館の実用性を若干減じたことは間違いない。そして、民間部門が図書館の存在価値の一部を奪い取るときが近づいていると筆者は考えている。

 出版社にとって、Amazonとの取引に同意するのによい時期が来たのではないだろうか。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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