米議会に近い複数の情報筋によると、GoogleはSchmidt氏の発言を受けて、同氏の言葉は文脈を無視して引用されたものだと米議員に触れまわったものの、二転三転する同社の著作権侵害防止に対する立場が、より大きな混乱を招くようになっただけだという。この情報筋は、Schmidt氏が何を言ったにせよ、Googleは同氏が会社を代表して発言していたわけではないと考えているようだと述べている。Googleが発表した声明は、Schmidt氏の発言に比べると少しも挑発的なものではなかった。「議会との密接な協力を続けて、PROTECT IP法の対象が著作権侵害サイトとなるようにし、なおかつ表現の自由の保護にも取り組んでいくつもりだ」(Googleの声明)。
この声明によって、米議会やPROTECT IP法の支持者との関係を修復できるかどうかは不明だ。傍観者も当事者も、間違いなく答えよりも多くの疑問を感じているだろう。Schmidt氏のコメントと、Googleクラウド音楽サービスのライセンシングをめぐるメジャーレコードレーベルとの交渉決裂を受けて、一部のコンテンツクリエーターは、Googleが著作権保有者との関係改善について考えを変えたのだろうかと疑問に思っている。
Googleは1年以上前から、ユーザーが自分の音楽を同社サーバにアップロードし、ウェブ接続デバイスから音楽ライブラリにアクセスできるようにするサービスのローンチ準備を進めてきた。そして5月になって、Googleはメジャーレーベルからライセンシングを全く得ずにサービスをローンチした。レコード会社はGoogleがデジタル音楽分野でAppleに戦いを挑むことを楽しみにしていたが、Googleのアプローチを快く思わなかった。
ここでもう1つ提起しなければならない可能性は、Schmidt氏が再び脚光を浴びるに当って、ニュースの見出しを飾るような発言をしようと決めたということだ。同氏は昔からそのような発言をしてきた。
「われわれはあなたがどこにいるか知っている。どこにいたかも分かっている。あなたが何を考えているのかも、多かれ少なかれ知ることができる」。同氏はかつてプライバシーに関する議論の中でこう述べている。批評家たちは同氏の発言を「薄気味悪い」という一言で表現した。
Schmidt氏は2009年、「誰にも知られたくないことがあるなら、そもそもそれをすべきではないのではないか」と述べ、Googleがユーザーデータを大量に蓄積していることを擁護した。この発言を受けて、Googleの味方だった電子フロンティア財団(EFF)も、Schmidt氏がプライバシー保護の重要性をきちんと理解しているのかどうか疑問を呈した。
しかし技術に明るい人々の間で、PROTECT IP法への反対に関するSchmidt氏のコメントに批判的な人は、あまり多くないだろう。この法案はファイル共有や無料コンテンツの利用者たちに受けが悪く、Schmidt氏とGoogleが強大な著作権との戦いにおいて再び救出に来てくれるかもしれないというのは、いい知らせかもしれない。Schmidt氏は、その堂々とした態度と、テクノロジ分野の経歴、既存メディアとの戦いで勝利を収めてきたことによって、ファイル共有や無料コンテンツの利用者の間でヒーローのような存在になっている。
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