ソニーは5月23日、2011年3月期の通期連結業績見通しについて、当期純損益を大幅に下方修正すると発表した。売上高、営業利益に関しては前回発表時点の想定どおりになる見込み。
売上高は7兆1810億円、営業利益は2000億円と、東日本大震災の影響を受けたものの2月時点の見通しを据え置いた。大幅な下方修正となった当期純損益は、第4四半期において、日本における繰延税金資産に対し現金支出をともなわない約3600億円の評価性引当金を計上する結果、2600億円の損失になる見込み。ただし、非現金支出費用のため、営業利益やキャッシュフローへの影響はないとしている。
この引当金計上に至る経緯を執行役 EVP CFO 加藤優氏は「ゲームの収益性改善、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのスマートフォンの高評価など、赤字計上事業と言われた事業でもプラスの要素が積み重なってきており、2011年度はかなりの収益回復ができると思っていた。しかし東日本大震災により、2011年度の見通しに関するマイナス要因が大きくなってきたため」と説明した。
東日本大震災に関しては業績への影響額を、営業利益で2010年度に170億円、2011年度に1500億円と試算しているとのこと。内訳として、稼働停止期間中の製造事業所固定費、製造事業所の被害、建物等の現状回復などとしている。「現状回復費用や減損費用や損失はほぼ全額保険収入でカバーできる」とのことだ。
また4月に発生した「PlayStation Network」と「Qriocity」の不正アクセスに対しては、2011年度における費用として約140億円と試算しているとのこと。その内訳は「ネットワークセキュリティの強化費用、ゲーム、音楽などのコンテンツの一部無償提供、売上減による利益の影響額」としており、「現時点では個人情報やクレジットカードの不正利用の確認はうけていない」と現状を話した。
「2月時点では、営業利益がもう少しいくのではと言われたが、震災などによる予期しない費用の計上があった。しかし他の事業で押し戻して、結果として見込み通りを達成できた」としている。
2011年度は震災の影響を加味して、営業利益は2010年度とほぼ同等の2000億円程度と予測。詳細は5月26日に開催される2010年度連結業績説明会で説明する。
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