Googleは探求を好み、「これならどうだろうか」と聞くのが好きな企業だ。だが、ビジネス上の取引ということになると、こうしたオープンな姿勢は失敗の歴史とも見える結果を招くことになりかねない。そのため、Page氏の指揮の下で必要な措置を講じて、非公開にした方がいいことは非公開にしておくようにすれば、Googleにいい結果をもたらすだろう。ここでGoogleのオープンな企業文化がまた問題になる可能性がある。Googleが1億〜10億ドルの取引を1件成立させるたびに、別の2件の取引がうまくいかなくなるように思える。うわさは必ず広まるので、そのうまくいっていない取引は多くの人々の知るところとなる。
このような情報流出は戦略として行われる場合もあり、筆者はジャーナリストとして、この職業の人々が皆リーク情報を歓迎していることを否定しないが、Googleは明らかに、全く真実でないうわさの報道に対してほとんど影響力を持っていない。しかし、Googleは浪費家という印象を与えるだけでなく、リソースが肥大化した巨大企業という印象も与えかねない立場にいる。同社が交渉で投げやりとも思える巨額のオファーをしていると報じられていることは、決して良い印象を与えない。Yelpに5億ドル、Grouponに60億ドル、Twitterに100億ドルを提示し、たった1人のエンジニアがFacebookに移籍するのを防ぐために100万ドルを提示したという。最初の2例のように、オファーが鼻であしらわれたときは特にそうだ。外から見ると(おそらく内からも)、こうした報道はGoogleが取引を成立させる「魔力」を失いつつあるような印象を与える。
これは極めて重要だ。Googleの中国における障害はますます大きくなり、さらに油断ならないものになっている。Googleは中国政府が同社サービスを妨害していると述べただけでなく、中国の検索エンジン「Baidu」との基本的なビジネス競争にもさらされている。
経営のトップがSchmidt氏からPage氏へ交代したことで、Googleの戦略がどうなるのか分からなくなった。報道によると、Googleが中国から事業撤退したとき、その決断を下したのはPage氏と共同創設者のSergey Brin氏で、Schmidt 氏は両氏に反対していたという。Page氏、あるいは同氏のチームの誰かができるだけ早く明確な方針を打ち出す必要がある。
Page氏がGoogleのCEOを退いてから今週同ポストに復帰するまでの間に、Eric Schmidt氏はAppleの取締役に指名され、その後、両社の利害の衝突が激しくなったことを受けてApple取締役会から去っている。利害衝突の大半はモバイル分野で起こっているものだ。Page氏が前回CEOを務めていたころ、「スマートフォン」や「アプリ」という言葉は同分野にはなかった。
分散戦略が功を奏して、Androidデバイスは順調に行けば、今後数年のうちにスマートフォン分野で支配的な勢力になりそうだ。ここでのPage氏の優先事項は、この成長を維持することと、新たな成長分野を見つけることになるだろう。Googleが最も避けたいのは、Microsoftのまねをして市場首位の座に満足し、その間にApple(あるいはまだ誰も想像していないようなほかの競合企業)が反撃の策を練ることだ。
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