ソニーはデジタル音楽をAppleから奪い返したいと考えている。
「WALKMAN」を生み出したソニーは、「iTunes」に挑戦する準備が整っていると述べており、音楽ストリーミング分野への取り組みを推進し、iTunesキラーを構築しようとして失敗した過去の試みも忘れ去ろうとしている。
ソニーは米国時間2月17日、米国で新しいクラウド音楽サービスを発表した。このサービスでは、楽曲をさまざまなソニー製デバイスで再生することができる。「PlayStation 3」や「BRAVIA」テレビ、Blu-ray Discホームシアターシステム、ソニーの多様なポータブルデバイスなどだ。サービスの名称は「Music Unlimited powered by Qriocity」。同サービスがその名称ほど難解なものでないことを祈る。
Qriocityのサブスクリプション契約者は、月額10ドルで4大レーベルすべての音楽と600万曲の楽曲にアクセスできる。音楽はソニーのサーバから各種デバイスにストリーミングされるため、ユーザーはハードドライブの容量が足りなくなることを心配する必要がない。また、ソニーも複雑なソフトウェアプラットフォームの構築に頭を悩ませる必要がない(これについては後述する)。Qriocityはユーザーのハードドライブをスキャンしてから、メディアライブラリの楽曲へのアクセス機能を提供する。このメディアライブラリにはAppleのiTunesも含まれている。
ソニーが2010年9月のIFAエレクトロニクスショーで初めて披露したQriocityには、楽曲推薦エンジンをはじめ今日の音楽サービスで標準となっている機能をすべて備えている。同サービスにないのは、ウェブに接続していないときに音楽を聴ける機能だ。歴史上最も偉大なポータブル音楽デバイスの1つであるWALKMANを開発したソニーが、なぜこのようにモバイルを軽んじることができるのだろうか。
その疑問に対するソニーの回答は、「今後の成り行きを見守っていてほしい」というものだ。Qriocityは手始めにすぎない。現段階におけるソニーのiTunes対抗戦略は、まず家庭向けサービスに注力することだ。音楽に関して言うと、家庭は十分なサービスを受けていない領域だという。Sony Network EntertainmentのプレジデントであるTim Schaaff氏は米CNETに対しこのように述べている。
ソニーはストリーミングサービスに依存するだけでなく(Appleはまだストリーミングサービスを提供していないが、将来的に参入するとみられている)、既に確立されたデジタルマーケットプレイス「PlayStation Network」上にQriocityを構築した。
「PlayStation Networkは2006年に開設され、それからの4年間で顧客を増やしている。全世界のアカウント数は7000万に上る。ゲームや音楽、映画のほか、あらゆる種類のEコマースが提供されている。PlayStation Networkは安定した事業だ。われわれは一から始めるよりも、その安定した事業を活用する決定を下した」(Schaaff氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」