Qriocityの方向性は、失敗に終わった音楽サービス「CONNECT」でソニーが選んだものと大きく異なる。CONNECTでは、ソニーはiTunesのようなメディアハブを構築してAppleに真っ向から戦いを挑んだが、デジタル音楽史上に残る悲劇的な結末を迎えた(米CNETのJohn Borland記者が、CONNECTがうまくいかなかった理由をうまく説明している)。CONNECTには内輪揉めや縄張り争いが付いて回った。インターネット時代になって指摘されるようになったソニーのコンテンツ部門、ハードウェア部門、ソフトウェア部門の機能不全と同種の問題だ。
CONNECTはリリース時から既に瀕死の状態で、ソフトウェアのバグによってとどめを刺されてしまった。
ソニーは体面を保つために同サービスをその後数年間存続させたが、結局閉鎖した。
今回ソニーは、iTunesを相手にCONNECTのときよりも善戦できるのだろうか。Appleの音楽サービスは10年近くにわたって、MTVやVirgin、Microsoft、Yahoo、AOL、MySpaceといった挑戦者たちを退けてきた。
Schaaff氏はまず、Qriocityはソニーのハードウェアと密接にリンクしたサービスであり、現在世界には3億5000万台のソニー製インターネット接続デバイスがある点を指摘する。つまり、ソニーは同社製品を販売する多数の業者の協力を得て、Qriocityを「宣伝してもらう」ことができるのだという。
またSchaaff氏は、ソニーのタイミングも重要な要素だと主張しており、これは完璧なタイミングだと述べている。かつてAppleの「QuickTime」部門の運営に携わっていたSchaaff氏によると、今ほどiTunesを打倒できそうに思えたことはなかったという。
iTunesソフトウェアは、耐えがたいほどにコンピュータの処理能力を消費するようになった。さらに重要なことに、一般の人々はダウンロード製品の購入に興味を失ったようだ。Schaaff氏はまた、現在のソニーはCONNECTプログラムが開始された2005年当時とは異なる企業だと考えている。
CONNECTが崩壊への道をたどっていたころソニーに在籍していなかったSchaaff氏は、「現在の状況は当時とは全く違うと思う。全員が同じ目標を共有しており、(ソニーの最高経営責任者(CEO)であるHoward Stringer氏の)全面的な支持を得ている。彼は必要なリソースを提供してくれた」と話す。
「おそらく、CONNECTは重要な教訓をいくつか与えてくれたのだろう」(Schaaff氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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