「iPad」はPCなのだろうか。その答えは誰に尋ねるかによって異なる。
パーソナルテクノロジを利用する方法が変容しているのは事実であり、「PC」と呼ばれるものを正確に定義するのは難しくなっている。最近の一部の市場シェア調査では、タブレットが従来型のPCと同じカテゴリに分類され、ノートPCおよびデスクトップPC市場が、長い間PC業界で劣勢だったAppleに有利な方向に傾いていることが示されている。
もちろんこれは販売台数の話だ。米国におけるAppleの「Mac」の販売台数シェアは10%を超え、同社史上最高となったが、それでもHewlett-Packard(HP)の17%超という世界市場シェアには遠く及ばない。しかし、Appleの影響力はそれよりもはるかに広い範囲に及んでいる。現在販売されている大半のコンピュータのデザインとマーケティングを一目見るだけで、そのことが分かるだろう。
だが、PC業界におけるAppleの台頭を示すことだけが目的なら、PCとタッチスクリーン式タブレットを同じ分類にするのは公平と言えるだろうか。
現段階では公平とは言えない。タッチスクリーン式タブレットとPCは、それで何ができるかという点において、現時点では異なるデバイスであるからだ。もちろん重複する要素もある。どちらのデバイスでも、それなりのサイズのスクリーンで動画を見ることができる。タブレットは、フルサイズのキーボードに接続して電子メールや文書の作成など多くの文字入力が必要な作業を行えるほか、プレゼンテーションの作成や電子書籍の閲覧も可能だ。もちろん目を凝らすことなく、ディスプレイ上でウェブサイトを閲覧することもできる。
しかし、iPadや「Android」タブレットのユーザーが、「MacBook」やAcerのノートPC、DellのデスクトップPCで行っていた作業を、7〜9インチのスクリーン上で完全に再現できていると言うことはほとんどないだろう。PCユーザーの多くが「標準的」と見なすディスプレイのサイズは、最低でも12〜13インチだ。これらのメディアタブレットは完全なデスクトップOSを搭載しておらず、ストレージも限られている。仮想キーボードは物理キーボードに取って代わるものではない。ポート数も限られており、ファイルシステムは存在しない。また、仕事で頻繁に使用する生産性アプリケーションは、必ずしもこれらのデバイスで簡単に使えるわけではない。
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