確かにタブレットでPCのようなタスクを多く実行することはできるが、いくつかの基本的な制限があるために、タッチスクリーン式タブレット体験はほとんどのユーザーにとってPC体験と同じではないと主張することは容易である。IDCのPCアナリストBob O'Donnell氏は、それは「程度の問題」に過ぎないこともあると指摘する。IDCはタブレットと従来型PCを同じカテゴリに分類していない調査会社だ。O'Donnell氏は例として、「わたしはアジアでの2週間の滞在から戻ってきたばかりで、電子メールが2週間分たまっている。iPadでも何通かを処理することは可能だが、300通の電子メールを処理するのは不可能だ」と述べた。
O'Donnell氏は、人によってメディアタブレットを実際に使用する方法が異なるのは、実行しているタスクや今いる場所といったコンテキストのためだと主張する。
しかし、タブレットがいずれ、それも近い将来に、多くの人にとってPCの代わりになる可能性がないわけではない。やがて、さらに小型で強力なデバイスが登場することは間違いない。それによって、従来のPC機能の多くをさまざまな小型のフォームファクタで実行できるようになるだろう。もちろん、時間の経過とともに習慣や使用シナリオも変化する。
GartnerのアナリストであるMichael Gartenberg氏は、タブレットは一部の人々にとって、メインのPCではないとしても、既にPCの代わりになっているのかもしれないと主張する。メインのPCは、大半のデータの保存先で、携帯電話や音楽プレーヤーと同期させるコンピュータと定義することができる。
業界では一般的にミニノートPCと認識されているネットブックの代わりに、「GALAXY Tab」を購入する人もいるかもしれないし、予算が限られている大学生はノートPCではなくiPadを選ぶかもしれない、とGartenberg氏は指摘する。
同氏はさらに、皆がPCを同じように使うわけではないため、専門家やアナリストがタブレットとPCは別物だと言い張っても、タブレットが一部の人々にとってPCの代わりになる可能性はあると述べている。
「ある人にとってはメインのPCでも、別の人にとってはサブPCだということもある」(Gartenberg氏)
平均的な中流階級の母親、シリコンバレーのエンジニア、高校生がデバイスをどのように使っているのか、そうした人々に対しどのようにデバイスをマーケティングしているのかということが、コンピュータの定義が非常にあいまいになり、絶えず変化し続けていることの要因になっている。
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