「Google Chrome OS」の行方--タブレット台頭とネットブック失速の影響 - (page 2)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年12月02日 07時30分

 Schmidt氏は11月のWeb 2.0カンファレンスで、Androidはタッチスクリーン入力が中心のデバイス向けに最適化されているのに対し、Chrome OSは従来型キーボードを搭載したデバイス向けに設計されていると繰り返し述べた。また、Chrome OSプロジェクトのリーダーであるSundar Pichai氏は、GoogleがChrome OSに関する重要なアップデートを最後に発表したとき、業界標準のネットブックよりも大きなスクリーンとキーボードを採用する可能性が高いパートナーを対象に、具体的なネットブックハードウェア要件を策定しているところだと述べている。

AcerはChrome OSを支持する企業の中でも目立った存在だが、タブレットへの投資を強化している(先週発表された機種群など)。それらのデバイスで採用されているのは、Chrome OSではなくAndroidだ。 AcerはChrome OSを支持する企業の中でも目立った存在だが、タブレットへの投資を強化している(先週発表された機種群など)。それらのデバイスで採用されているのは、Chrome OSではなくAndroidだ。
提供:Acer

 しかし、ハードウェアメーカーは数年前と同じようにネットブックに投資しているわけではない。メーカーは当時の深刻な不況の中、営業利益率が圧迫されるが低価格の製品を作らざるを得ないと感じていた。タブレットなら、ネットブックほど営業利益率を圧迫することはない。2010年から2011年にタブレットの発売を検討している企業は、開発中プロジェクトのChrome OSではなく、既にテスト済みで成熟したソフトウェアであるAndroidを採用する必要がある。

 コスト意識の高いハードウェアメーカーにとってのChrome OSの大きな利点は、もちろんそのコストである。Chrome OSは無料で利用できるからだ。しかし、そうしたセールスポイントがあっても、数年前のネットブック市場をめぐる騒ぎがタブレットの台頭によってすっかり静まってしまったのは明らかだ。このことは、Acerが先週ニューヨークで大々的なタブレット発表会を開いたが、そこにネットブックは1台もなかったという事実が雄弁に物語っているのかもしれない。

 GoogleがChrome OSの計画を明らかにしたほぼその日から、「なぜ別のOSを開発するのか」という答えのない疑問が残っている。Googleが考えるその問いに対する答えは、「可能だからだ」というものである。同社は、十分な数の優秀な人々が集まって大規模プロジェクトに取り組めば、真に優れたものが生まれると信じている。

 しかし、これによって社内と社外の両方で混乱が発生することが明らかになり始めている。「Google Wave」の共同開発者(その後、GoogleからFacebookに移籍)であるLars Rasmussen氏は2010年、Google Waveと「Google Buzz」の機能重複について尋ねられたとき、「ローンチするすべての製品について、ほかの製品と機能が全く重複しないことを要件に定めたら、革新のペースは劇的に低下するだろう。大本になるマスタープランがあると言えればよいのだが、それはGoogleのやり方ではない」と答えた。

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