Facebook対グーグル--データ可搬性をめぐる議論の真の争点 - (page 3)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年11月22日 07時30分

 個人データが、サービス間で自由に双方向の移動ができれば、この世界はもっとよくなるというGoogleの言い分はかなり筋が通っている。しかしGoogleは、閉じたソーシャルシステム内に蓄積されているデータに価値があることも認めており、2009年には、Orkutユーザーが連絡先情報をほかのシステムへエクスポートすることを禁止したが、その論拠は、Facebookが現在の論争で使っているものとほとんど同じだった。Googleは後にこの方針を変えたが、それは矛盾を非難されてからのことだ。

 Googleは、「Google Buzz」を立ち上げた際も、ソーシャルネットワークという文脈においてはユーザーのGmailの連絡先もユーザーの「友人」であるという大きな誤解をしていた。Google Buzzを使い始めた人々は、Buzz公開後の短い期間、自分のGmail連絡先リストにある名前が、全体に公開されるGoogle Profileページにデフォルトで表示されていることに気づいて恐怖した。この設定では、連絡先リストの多くの人々に、そのユーザーがほかの誰と頻繁にGmailでやり取りしているのかが見えてしまう。この場合も、Googleは激しい抗議を受けるまで問題を修正しなかった。

 つまり両社とも、ユーザーのオンライン上のプライバシーや自分のデータを管理する権利を守ることに関して美辞麗句を並べているが、自社のビジネスニーズのためならすべて簡単に無視してしまうということだ。

 仮にFacebookが、ユーザーのアップデートや個人情報、好みなどは、友人の間でのみ共有されることを理解していなかったとしたら(そしてAPIアクセスを行う多国籍企業や、洗練されたファンページがなければ)、人間の行動や消費者動向についての貴重なデータベースになることはなかっただろう。しかしFacebookは、MSNやYahooのユーザーがステータスアップデートをフィードしたり、Facebookのウォールの外で「Farmville」を利用したりできるようにすれば、ユーザーにより多くの選択肢や利便性を提供できることも分かっている。いくつか契約を結んでいるのはそのためだ。

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