Androidのジレンマ--グーグルが見せ始めた実利主義への転換 - (page 3)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年10月07日 07時30分

 Googleは、自社のAndroid戦略に、エンドユーザーの満足という点でいくつかの問題があることをよく承知している。Android市場を創り出すために懸命に努力した通信事業者パートナーの怒りを買うことが確実な「Nexus One」を発表したことに、ユーザー満足度以外に一体どのような理由が考えられるだろうか。Googleは、明らかにエンドユーザーを念頭に置いた考えから、すっきりしたユーザーインターフェースを提供するとともに、通信事業者から権力を奪回したいと考えたが、Android市場全体の勢いを損なうことを避けるため、Nexus Oneの野望を縮小せざるを得なくなった。

オープンであること

 前述のように、Googleがこの曲がりくねった道を歩んできたのは、Androidが「オープン」である(これもGoogleの基本原則の1つ)ということはどういうことかを考えた結果、顧客にある定義を当てはめるという結論に達したからだ。つまり、GoogleのAndroid顧客とは、Nexus Oneを一般向けに販売していた間に購入した人を除き、エンドユーザーではなく、携帯電話を作ったり、ネットワークを運営したりするVerizon、Motorola、HTC、T-Mobileといった企業であるという定義だ。

 Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は先日、同社のAndroid戦略はAppleのiPhone戦略とは正反対のもので、GoogleからAndroidのライセンス許諾を受けたパートナーは、本質的にAndroidで何でも自由に行うことができると説明した。しかし実態は、独自ブランドのスキンを開発する、独自のアプリケーションストアを開設する、Android新バージョンの承認を非常に遅くする、といったように、実際に端末を使用するユーザーよりもパートナー自身の利益になることを行うことができる、という意味になっている。

 繰り返すが、それが必ずしも悪い決断だったわけではない。GoogleがAndroidを立ち上げようとしたときにAppleほどのトップダウン型のコントロールを行っていたら、通信事業者や携帯電話メーカーはこれほど協力しようとはしなかったかもしれない。その場合、Apple以外のスマートワイヤレスデバイスの普及が数年遅れていた可能性もある。ワイヤレス通信事業者が常々ネットワーク上で実行されるものを厳格にコントロールすることを望んできたことを、Googleは十分承知していたが、Appleのゲームに参加したくない人たちにとってAndroidを現実的な選択肢とするためには通信事業者のサポートが必要だったという点で、その決定は現実主義的なものだった。

 それでも、このような顧客第一の戦略に沿いながらも、Googleは一定のルールを課す必要があることも承知している。そこでCompatibility Definition Documentという文書で、携帯電話メーカーがAndroid搭載デバイスとしての認定を受けるために満たさなければならない特定の基準を定めた。Skyhook Wirelessは、Googleが同文書を使用してSkyhookのサービスをAndroid搭載携帯電話から閉め出したとして非難している。この主張に関してGoogleはまだコメントしていないが、それでもこの訴訟により、Androidが成功した今になってGoogleがAndroidをより強力にコントロールしようとしていることが証明されるかもしれない。

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