Googleのモバイルアプリケーションビジネスの責任者を務めるVic Gundotra氏は、2010年のGoogle I/Oにおける開発者向けの講演の中で、Android開発の背景にある動機について実に力強く説明した。
その講演でGundotra氏が語ったところによると、同氏は一般発表前にAndroidの開発について知ったとき、Androidのエンジニアリング担当バイスプレジデントAndy Rubin氏に、なぜインターネット検索の企業がモバイルOSビジネスに参入するのかと尋ねたという。Rubin氏は、世界は本当の意味でのオープンソースOSを必要としており、それによって多くの企業が革新的な携帯電話やアプリケーションを生み出して、携帯電話ユーザーのごく個人的なさまざまなニーズに対応するためだと答えている。
そのようにしてGoogleは、業界を最重要視したプロジェクトに着手した。2007年に発表されたときは、さほど大規模なものには見えなかったが、時とともに、同ソフトウェアの普及が伸び悩んではいないことが明らかになった。今ではAndroid搭載携帯電話は至るところにあり、Androidプラットフォームはかなりの市場シェアを獲得している。
だが、確かにAndroidは人気を獲得しつつあるものの、Googleの戦略にはエンドユーザーの問題がつきまとっている。
Androidでソフトウェアの問題が発生した場合、カスタマーサポートは悲惨なものになる可能性がある。米国の場合、Androidの表向きの顔となる通信事業者と携帯電話メーカーは、必ずしもソフトウェアの問題を解決できるわけではなく、Googleのフォーラムを中心としたサポート戦略ではなかなか思うようにいかないことがあるからだ。また、新機能をユーザーに届ける際には、ユーザーに提供してもよいという時期を通信事業者が決めるために、非常に長い時間がかかる。5月に初めて発表されたAndroidの最新バージョン2.2を搭載した端末の数がインストール数全体の30%を超えるまでに6カ月近くかかっている。
Android搭載携帯電話のメーカーは、競争の中で差別化を図る方策を持つ必要があるため、Motorolaの「MOTOBLUR」のように、独自のユーザーインターフェーススキンをバンドルすることが多い。大半の場合、そのためにユーザーエクスペリエンスの質が低下する。かつてほとんどすべてのPCにプレインストールされているように思われた「クラップウェア」の記憶が蘇りそうになるほどだ。うわさによると、Googleはパートナーメーカーが独自スキンの開発をやめるとメリットが得られるような新バージョンのAndroidに取り組んでいると言われているが、現時点では、古くからのユーザーはメーカー独自スキンを押し付けられている。
またパートナーメーカーは、ネットワークをダウンさせる可能性のあるテザリングのアプリケーションなど、特定のAndroidアプリケーションの使用をユーザーに禁止することもできる。加えて、ユーザーがAndroidアプリケーションを端末にロードする方法を制限することもできる。ここまでいくと、強権的だとしてGoogleがよく批判するAppleのコントロールと変わらない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」